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相続登記をするタイミングはいつ?

2023-11-20

実家や自宅の所有者である親や配偶者が亡くなった場合、家の名義を相続人へ移転(相続登記)することが必要です。この相続登記をするタイミングについて、相続人からご相談を受けることがあります。今回は、遺言書が無かったケースを基に、相続登記をするタイミングについてお話ししていきます。

 

権利を主張するためには登記することが重要

相続財産のうち、土地や建物などの不動産を相続した相続人は、速やかに相続登記をする必要があります。相続登記を放置していると、相続した不動産の名義は亡くなった人(被相続人)のままです。実際には、不動産の所有者は亡くなっていますので、相続人が次の所有者になります。不動産の名義は、役所に故人の死亡届を提出すれば自動で代わるものではありません。不動産を相続した相続人が、不動産を管轄している法務局で登記を申請しなければ不動産の名義は変わりません。登記をすることで第三者に対して自分が持っている権利を主張でき、対抗力をつけることができます。被相続人から相続人に不動産の名義変更をしていない場合は、相続した不動産を担保に入れ融資を受けることや売却することもできません。

 

法定相続人全員で協議が必要

相続による所有権移転をするためには、法定相続人全員で話し合いをする必要があります。これを遺産分割協議といいます。相続が開始した時点では、被相続人の財産は法定相続人の共有となります。法定相続人のうち誰が何をどれだけ相続するか遺産分割協議をします。例えば、夫が亡くなった場合、夫名義の自宅を妻の名義に所有権を移転する(単独名義)又は妻と子の二人の名義(共有名義)にするケースなど、各家族によって事情が異なります。争いが無く、遺産分割協議がまとまった場合は、速やかに遺産分割協議書を作成しましょう。

 

相続人に変化が生じる

遺産分割協議書には法定相続人全員の署名、実印の捺印や印鑑証明書の添付が必要です。遺言書等が無く、法定相続分と異なる割合で相続する場合は、この遺産分割協議書が無ければ、相続登記を申請することはできません。法定相続人が複数いる場合や遠方にいる場合などは、全員の署名捺印が揃うまでに日数がかかるケースもあります。遺産分割協議書の作成を先延ばしにすると、下記のような事態になる場合があります。

 

  • 海外に移住した相続人

海外に住所をうつしている場合は、住民票が無くなり実印の登録も抹消されます。海外に在住している相続人は、署名証明や在留証明書など領事館や大使館で取得するため、必要書類の取得と郵送に日数がかかります。

 

  • 行方不明になってしまった相続人

遺産分割協議には参加し、分割案に賛成していた相続人が突然家を出てしまい、家族も連絡先がわらない状態になってしまったケースもあります。相続登記を申請するためには全ての法定相続人から遺産分割協議書に署名、捺印が必要です。法定相続人と連絡が取れなくては先に進めることができません。遺産分割協議がまとまっても遺産分割協議書が調わなければ、相続による所有権移転(相続登記)ができません。

 

  • 入院してしまった相続人

遺産分割協議の時は元気だった相続人が、先延ばししたことによって高齢化したり、体のコンディションにも変化が起こったりする場合があります。電話での連絡が困難になり用件を伝える事に不自由を感じることもあります。また、病気や事故で病院に入院してしまったり、介護施設に入所してしまう場合もあります。遺産分割協議書が調うまでに時間がかかる恐れがあります。

 

  • 成年後見を利用することになった相続人

認知症になって判断能力が低下した相続人は、遺産分割協議に参加することができません。このような場合は成年後見人を選任することになります。成年後見人が選任されると、被後見人の代わりに成年後見人が遺産分割協議に参加します。その場合は、原則、被後見人が取得する財産について、法定相続分以上を確保しなければなりません。遺産分割の内容によっては、遺産分割協議がまとまらない場合もあります。

 

  • 亡くなってしまった相続人

遺産分割協議の時は元気だった相続人が病気や事故などで、死亡するケースもあります。実際、当事務所にご相談いただいた事案で、火事でお亡くなりになった相続人もいました。相続人が死亡すると、死亡した相続人の法定相続人と遺産分割協議をすることになります。相続人が増えると権利関係が複雑になり、面識のない相続人と協議するためスムーズにいかないケースもあります。遺産分割の内容を理解するのに時間がかかる場合や協力を拒む相続人もいます。上記のような事が起きる前に、相続が発生し場合は、遺産分割協議を先延ばしにせず、速やかに行い遺産分割協議書を作成し、相続登記をすることをお勧めします。

 

相続登記をしないと起きるデメリット

  • 土地の活用ができない

相続した不動産のうち、空き家や空き地がある場合があります。このような状態でも固定資産税の負担は相続人にかかってきます。相続登記をしないままでは不動産の所有者であることが第三者に対して不明なため、空き家を解体したり空き地にマンションやビルなどの収益物件を建てたりすることもできません。

 

  • 相続した不動産の売却ができない

相続した土地や建物を売却するためには、被相続人から相続人への相続登記が完了していなければ売却はできません。遺産分割協議書が調っていなければ、売買契約を締結することもできませんので、速やかに遺産分割協議書を作成する必要があります。

 

相続登記の期限と過料

これまでの相続登記は、所有者の判断に委ねられており、特に申請期限はありませんでした。2024年4月1日からは相続登記が義務化されることになり、申請期限も設定されます。相続開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内に不動産の名義を変更(相続登記)しなければなりません。相続登記をしなければ罰則が科せられる恐れがあります。改正法施行前に相続した不動産も対象になりますのでご注意ください。相続登記を先延ばしせずに、速やかに手続を行うことをお勧めします。

 

まとめ

相続登記を先延ばしすることで権利関係が複雑になります。法定相続人が亡くなってしまうと次の相続人が増え、手続きが更に複雑になります。ご自身が先延ばしすることで、次の世代の子供や孫に手間や費用の負担をかける事になります。ご自身の代で権利を明確にしておくことをお勧めします。相続財産に不動産がある場合の遺産分割協議書の作成や故人名義の不動産を相続人へ名義変更する場合は、司法書士に依頼することをお勧めします。

 

いちえ司法書士事務所では、初回の相談から代表の女性司法書士が対応いたします。お気軽にご相談ください。

 

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抵当権設定の登記がされている相続登記

2023-10-18

親の不動産を相続する事になり、登記簿謄本(登記事項証明書)を確認すると、抵当権設定の登記がされている場合があります。このような場合はどのように相続登記を進めていくとよいのでしょうか?今回は抵当権設定の登記がされている相続登記の進め方についてお話します。

 

住宅ローンの融資を受けている

登記事項証明書の乙区に「抵当権設定」と記載があり、下線が引かれていない場合は抵当権の登記が残っているという事になります。一戸建てやマンションなどの不動産を購入する際に、銀行などの金融機関(債権者)から融資を受けて購入した場合、債権者は対象の土地や建物に担保権を設定し融資することが一般的です。銀行で住宅ローンの手続きを行い、融資および抵当権設定は保証会社が行うケースもあります。抵当権の設定により、債務者が返済を滞った場合に債権者は貸したお金(債権)を回収するために不動産を差し押え競売にかけ、売却代金から登記の順位で債権を回収することができます。担保をつけた不動産に抵当権設定の登記をする事で、第三者がわかるようになり、不動産の所有者が独断で贈与や売却することを防止します。抵当権の設定登記は金融機関から委任を受けた司法書士が行うことが通常です。

 

住宅ローンを完済している

住宅ローンの利用は35年や50年といった長期にかけて返済する契約がありますが、住み替えや借り換え、繰り上げ返済などで契約期間より早く完済しているケースもあります。また、住宅ローンの契約時に加入する団体信用生命保険の適用により契約者が高度障害状態や死亡した場合は返済が免除される場合があります。この適用により相続人が返済義務を負わない事になります。

 

抵当権の設定登記を抹消するには

登記事項証明書に記載されている抵当権設定の登記を抹消するには、所有者自身で抵当権抹消の登記をする必要があります。債務者が住宅ローンを完済しても金融機関が抵当権抹消の登記をしてくれるわけではありません。完済した場合に抵当権抹消登記に必要な書類は、金融機関に受領しに行くか、郵送されてきます。金融機関から発行された書類を基に申請書類を作成し、管轄の法務局で抵当権抹消の登記を行う必要があります。法務局では申請書類の作成代行は行いませんので、所有者(亡くなっている場合は相続人)又は司法書士が登記に必要な申請書類を作成します。一般的には司法書士に依頼するケースがほとんどです。法務局で抵当権抹消の登記手続きをしない限り、抵当権設定の登記は残ったままになります。

 

抵当権抹消の登記に必要な書類

抵当権抹消の登記をするためには金融機関から受領する書類が必要です。所有者である被相続人は、住宅ローンの返済が完了した時点で金融機関から抵当権抹消の登記に必要な書類を受け取っていた可能性があります。また、受け取った書類を紛失している場合もあります。相続人は金融機関から発行された書類の有無を確認し、紛失している場合は金融機関に事情を説明し再発行の手続きを行いましょう。団体信用生命保険の適用により返済が免除された場合は、相続人が金融機関から必要な書類を受け取る事になります。

 

金融機関から受け取る書類

①登記登記済証または登記識別情報通知

抵当権設定の登記を行うと法務局から金融機関(抵当権者)の登記済証や登記識別情報通知が発行されます。平成16年の法改正までは法務局の赤い印が押印された登記済証が発行されていましたが、法改正後はオンライン化されたため登記済証は廃止され、登記識別情報が登記名義人に交付されます。登記識別情報は12桁の英数字の組み合わせのパスワードのようなものです。12桁の英数字は緑色のシールで目隠しされている状態になっており、一度剥がすと再度貼り直す事はできません。次の登記を行う時まで剥がさずに保管するようご注意ください。平成27年には登記識別情報の書式が変更になりパスワードを目隠ししていたシールが廃止されミシン目を切り取るとパスワードが確認できるように変更されています。どちらの登記識別情報も紛失した場合は特別な手続きが必要で手間も費用もかかります。再発行はできませんので大切に保管してください。

 

②解除証書

金融機関によっては「弁済証書」、「放棄証書」など名称が異なります。住宅ローンの返済が終了したことを証明する書類です。

 

③金融機関の委任状

抵当権抹消登記の委任状は、金融機関が登記手続を行う者に対し抵当権抹消の登記を委任するための書類として発行されます。抵当権抹消の登記を申請するためには、上記の書類の他に、司法書士に委任する場合は申請者からの委任状などが必要です。法務局で申請をする際は登録免許税の納付が必要です。登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。土地1筆と建物1棟の場合は2,000円になります。

 

抵当権の抹消登記を放置することで起こるデメリット

銀行などの金融機関から発行される抵当権抹消の登記に必要な書類には、提出期限の定めがありません。そのため、抵当権抹消の登記に必要な書類を受け取っても登記手続きをせずに放置している場合があります。長い間放置していると金融機関の本店移転や合併、代表者の変更などが起きる場合があります。このような場合は、追加の書類が必要になりますので余計な手間と時間がかかります。金融機関から必要書類を受け取った場合は、速やかに抵当権抹消の登記を行うことをお勧めします。

 

司法書士に依頼するメリット

抵当権抹消の登記は管轄の法務局で手続きを行います。相続人が自ら登記申請を行う場合は、慣れない申請書類を作成するために手間や時間がかかります。管轄の法務局へ出向き申請ができたとしても、申請書類に不備があると法務局は受理してくれません。法務局では登記官が審査を行い、申請内容に不備があると取り下げになります。取り下げまでいかない軽微な不備の場合は登記官から連絡があり、平日の開庁時間内に法務局へ出向き不備を補正しなくてはいけません。このような場合は登記完了日が遅れることになります。登記完了後に売買契約などが予定されている場合は契約日や決済日に遅れが生じる場合があります。所有者に相続が発生している場合は、抵当権抹消と同時か先に相続登記を行わなければなりませんので、より手続が複雑です。司法書士は登記の専門家であるためスムーズにまとめて登記申請を行うことができます。

 

当事務所の対応

今回は銀行などの金融機関が住宅ローンの融資を行った場合に抵当権設定の登記がされていたケースをお話ししました。相続による不動産の名義変更(所有権移転登記)を行う際に、抵当権設定の登記がされていた場合は、金融機関に完済の有無を確認する必要があります。完済している場合は、金融機関から発行された解除証書等の書類を基に管轄の法務局で抵当権の抹消登記を行います。抵当権抹消の登記の専門家は司法書士になります。今回のように相続が発生している場合は、相続による所有権移転登記と合わせて司法書士に依頼することで手間や不備が起こるリスクを少なくできます。当事務所は、初回相談から司法書士が対応し、登記申請から完了までの流れ、必要書類や登記費用の説明を行っています。ご納得いただいてからの着手になりますのでご安心ください。相続登記を行う際に抵当権抹消の登記が必要な場合はお気軽にご相談ください。

亡くなった親名義の不動産が遠方にある場合の相続登記

2023-09-18

亡くなった人(被相続人)名義の不動産があった場合、被相続人から相続人への名義変更(相続登記)が必要です。(2024年4月からは相続登記の義務化も施行され、放置すると罰則や過料が発生します。)

 

相続人が被相続人と離れて暮らしていた場合、相続登記はどのようにすすめていけばよいのでしょうか?

相続人が自ら登記申請をする場合もありますが、慣れない手続のためご自身で手続を進めることに不安を感じる方もおり、司法書士に依頼するケースが多いです。

 

司法書士に依頼をする場合は、被相続人が所有していた不動産の近くにある司法書士に依頼するべきなのか?それとも相続人の住まいの近くにいる司法書士に依頼した方が良いのか?

このように、どこの場所にある司法書士に依頼した方が良いか判断に迷われる相続人がいらっしゃいます。

今回はこのような疑問にお答えしていきます。

 

【事例:遠方で暮らしていた父が亡くなったケース】

被相続人:父 (札幌市永住)

相続人:長男(名古屋市在住)・長女(沖縄市在住)

相続財産:不動産(札幌市内にある土地・建物)、預貯金

 

相続登記の流れ

 

  1. 遺言書の有無を確認

二人の相続人は父親が作成した公正証書遺言書や自筆証書遺言書等の存在を確認します。

 

  1. 相続人の確定

相続人は自身の戸籍謄本と被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得し相続人を確定する必要があります。

 

  1. 不動産の調査

相続する不動産の権利証(登記済証又は登記識別情報通知)、登記事項証明書、固定資産税評価証明書、名寄帳等を取得し不動産を確認します。

 

  1. 遺産分割協議

父親が作成した遺言書の存在が無く、相続人が二人以上いる場合に、法定相続分と異なる割合で相続するときは、遺産分割協議が必要です。今回の事例のケースでは、相続人の間で遺産分割協議をした結果、父親が暮らしていた一戸建ての家は土地と建物が父名義のため、長男が相続し、長女は預貯金を相続することで協議がまとまりました。

 

  1. 司法書士へ依頼

不動産を相続する長男は、仕事が忙しく、慣れない相続登記を自らが行うことが困難なため、登記の専門家である司法書士へ依頼することを決めました。

 

■司法書士に依頼する理由

・慣れない登記手続をすることが不安である。

・登記申請に必要な書類を作成する知識や時間が無い。

・時間や労力を削減でき効率的である。

・確実に、スピーディーに登記を完了させることができる。

・平日は仕事があり法務局へ出向く時間がない。

・面倒な手続きは苦手である。

・登記申請に不備があっても対応できない。

・専門家に任せることで他の事に時間を使える。

・自分自身で行うよりミスが無く安心できる。

以上のような理由があります。

 

■依頼の内容

  • 戸籍謄本の収集

相続人である長男、長女は自身の戸籍謄本を役所で取得しますが、被相続人の戸籍謄本の取得は出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になるため、取得の依頼を受けました。昔の戸籍謄本は手書きで崩した字体で書かれている為、読み解くことが困難な場合があります。

また、被相続人が結婚や離婚、引っ越しなどで本籍を移している場合は、本籍のある役所で戸籍謄本を取得する必要があります。役所が遠方で出向くことが難しい場合は小為替を購入し郵送で取得することになります。

相続人が被相続人の分の戸籍謄本を取得するために交通費や時間をかけ苦労して取得しても、必要な戸籍謄本が不足しているケースもあります。

司法書士は登記を前提にしている場合は遠方でも、職権で相続人に代わって戸籍謄本を取得することができます。

 

  • 遺産分割協議書の作成

相続人の間で遺産分割協議がまとまった後に、司法書士が遺産分割協議書を作成します。作成した遺産分割協議書に相続人が署名と捺印をします。

 

  • 相続登記申請

相続する不動産を管轄する法務局へ登記申請する際に、戸籍一式・住民票・住民票の除票、印鑑証明証や固定資産税評価証明書などの添付書類を揃えて提出します。

相続人が登記申請を自ら行う場合は、札幌の不動産を管轄する法務局の開庁時間内に窓口へ出向き申請するか必要な書類を揃えて郵送することになります。

当事務所のようにオンライン申請ができる司法書士事務所の場合は、札幌の法務局へ出向くこと無く、登記申請を行うことが可能です。

 

  • 登記申請書の補正

法務局へ登記申請を行うと必ず受理されるわけではありません。法務局では一定の基準で審査が行われます。重大な間違いがある場合は却下されますが、却下までにはならない軽微な場合は手直しをすることで受理される場合があります。

登記に必要な申請書類に不備があると登記官が判断した場合、補正の連絡を受ける場合があります

相続人が自ら登記申請を行い補正の連絡を受けた場合は、法務局が定める期間内に札幌の法務局へ出向き補正作業を行うことになります。

 

  • 登記完了

登記が完了し、完了証や権利書を受け取る方法としては、法務局の窓口で受領する方法と郵送で受領する方法があります。

当事務所にご依頼いただいた場合は、すべて郵送で受領する方法で対応しております。

法務局から返送された書類を当事務所で確認し整えてから、依頼人の長男へお渡しします。

当事務所の司法書士や依頼人の長男が、札幌の法務局へ取りに行く必要はありません。

 

■まとめ

登記申請する法務局は、被相続人や相続人の住所地の法務局ではなく、相続する不動産を管轄する法務局で登記申請を行います。

司法書士に相続登記を依頼する場合は、オンライン申請ができるシステムを導入している司法書士事務所であれば日本全国の不動産の登記が可能です。

当事務所では、オンライン申請に対応しておりますので、日本全国の不動産の登記が可能です。

どこの場所にある司法書士に依頼した方が良いかという疑問については、相続登記手続が完了するまでに、司法書士事務所へ相談に行ったり、書類のやり取りがあったりするので、手続を進める相続人が利用しやすい場所にある司法書士に手続を依頼することをお勧めします。

なお、稀にオンライン申請を導入していない司法書士事務所も存在します。また、対応エリアを決めている司法書士事務所もあります。司法書士事務所によって対応が異なりますので、事前に確認されることをお勧めします。

いちえ司法書士事務所は初回相談から司法書士が対応しております。

相続登記の流れや必要書類、登記費用の説明等を行い、ご納得いただいてからの着手となります。相続する不動産が遠方な場合でも、お気軽にご相談ください。

相続した不動産が複数ある場合、相続登記は同時にできるの?

2023-08-18

相続が発生し、不動産の名義変更をしたいという相談を受ける際に、亡くなられた方(被相続人)が複数の不動産をお持ちであったというケースがあります。

相続人が複数いる場合は、どなたが不動産を引き継ぐかという事を相続人全員で話し合いをし、所有権移転登記(相続登記)をします。

では、仮に不動産の所在地が愛知県、岐阜県や三重県等それぞれ異なる場合は、どのような順番で相続登記を行っていくのでしょうか?

土地や建物の種類によって登記する順番が決まっているのでしょうか?

不動産の所在地によって順番が決まっているのでしょうか?

それとも、順番はなく複数の不動産の名義変更を同時に登記申請できるのでしょうか?

今回はこのような疑問について、相続登記の流れとともにお答えしていきます。

 

■父名義の不動産を母の名義に変更したい場合

【事例】

被相続人:父

相続人:母、長男

不動産:自宅(愛知県)

    土地(岐阜県・三重県)

 

1.遺言書の有無

公正証書遺言の場合は全国の公証役場で調べることができます。

自筆証書で作成した遺言書が見つかった場合は、開封前に裁判所での検認手続が必要です。

また、法務局での自筆証書遺言書保管制度を利用している場合もあります。

遺言書保管所である法務局で、遺言書情報証明書の交付や遺言書の閲覧、遺言書保管事実証明書の交付ができます。

 

2.相続人の確定

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、除籍、原戸籍謄本を取得し、誰が相続人かを確定します。

戸籍謄本等は役所で取得することができます。被相続人が結婚や離婚、引っ越しをしている場合は注意が必要です。

このような場合は、被相続人が本籍をその都度変更している場合がありますので、さかのぼって本籍のある各役所で取得することになります。

本籍地の役所が遠方で出向く事が難しい場合は、郵送で取得することが可能です。郵送する際は、郵便局で戸籍謄本分の定額小為替を購入し必要書類とあわせて役所へ郵送します。

最近の戸籍謄本はコンピューター化されて読みやすくなっていますが、昔の戸籍は文字を崩して書かれており、読み解くことが難しい場合があります。

また、仕事が忙しく、平日の役所の開庁時間に出向くことが困難な場合や郵送での取得が面倒に思う方もいらっしゃいます。

そのような場合は、司法書士が代わりに取得することもできます。ただし、相続登記のように不動産登記を法務局へ申請する際に提出する必要がある場合に限ります。

相続登記手続のための戸籍謄本の取得をご希望の場合は、いちえ司法書士事務所までご相談ください。

 

3.相続する不動産の確認

・権利証(登記済証・登記識別情報通知)

・課税明細書、固定資産税評価証明書、名寄帳など

・登記簿謄本(登記事項証明書)

上記の書類を基に被相続人名義の不動産を確認します。

 

4.必要書類の取得

上記3の戸籍をあわせて、その他の必要書類を取得します。

その他の必要書類とは、相続人全員の戸籍謄抄本、相続人全員の印鑑証明書、不動産を取得する相続人の住民票や被相続人の住民票の除票等です。

その他、別途書類が必要となるケースもありますので、ご相談の際に詳しくご説明します。

 

5.遺産分割協議書の作成

相続人の間で、被相続人の財産のうち何を誰がどれだけ引き継ぐかといった協議内容を書面にします。それが遺産分割協議書です。

相続財産として不動産、現金、預貯金、有価証券や車などを記載します。

相続人の間で協議がまとまらない場合は、遺産分割協議書を作成することはできません。

紛争に発展しそうな場合は、司法書士、税理士、行政書士等は業務外になりますので、弁護士に相談することになります。

 

6.書類への捺印

遺産分割協議書や委任状など登記申請に必要な書類を当事務所で作成し、ご捺印いただきます。

 

7.登記費用のお支払

相続人が法務局の窓口で登記申請する場合は、登録免許税額の収入印紙を購入し、台紙に貼付し申請書類と共に窓口に提出します。

当事務所が相続登記の申請をする場合は、原則、オンライン申請で行います。

オンライン申請の際に登録免許税を納付する必要がありますので、当事務所でお手続きさせていただく場合は、登記費用(登録免許税及び司法書士報酬)をいただいた後に登記申請いたします。

現金で持参していただくか振込のどちらかになります。なお、登記費用に関しては、面談の際にお見積りさせていただきます。

ご納得していただいてから着手して参りますので、ご安心ください。

 

8.登記申請

相続した土地や建物の不動産が複数ある場合でも、対象の不動産を管轄する法務局が同じであれば同時に登記申請ができます。

しかし、今回のように相続する不動産が3物件あり、管轄する法務局が愛知県、岐阜県、三重県に分かれている場合は、同時に登記申請はできません。

登記申請する順番を仮に1番目に愛知県の法務局に登記申請をします。

登記が完了したら次は2番目として岐阜県の法務局へ申請し、完了したら3番目として三重県の法務局へ順番に申請することになります。(※この順番に決まりはありません。)

法務局へ登記申請する際に、戸籍謄本や遺産分割協議書の原本を提出する必要がありますので、1か所目の法務局へ登記を申請すると2か所目、3か所目を重複して申請することはできません。

申請方法は、管轄する法務局の窓口に出向いて申請する方法や郵送で申請する方法、オンライン申請を導入している司法書士事務所から申請する方法があります。

いちえ司法書士事務所では、オンライン申請を導入しておりますので法務局の窓口へ出向くことなく、スピーディーに日本全国にある不動産の名義変更(所有権移転)が可能です。

行政書士や弁護士に戸籍謄本の取得や、遺産分割協議書の作成をお願いした場合でも、相続登記を申請できるのは相続人又は司法書士のどちらかになります。(※法的には弁護士も可能ですが、登記業務を専門としている司法書士に任せる場合が多いです。)

 

9.登記完了

管轄の法務局の混雑状況にもよりますが、登記申請から完了まで約1週間から10日前後かかりますので、3物件全ての登記手続が完了するまでに約1か月かかります。

ご自身で登記の完了予定日を確認したい場合は、法務省のホームページから確認することができます。

 

■まとめ

・不動産が複数あっても、所在地を管轄する法務局が同じであれば同時に登記申請することが できます。

・相続する複数の不動産の所在地を管轄する法務局がそれぞれ異なる場合は、それぞれの法務 局で順に申請することになります。

・相続財産に不動産がある場合は相続登記が必要です。戸籍謄本の取得から遺産分割協議書の 作成、相続登記まで司法書士に依頼するメリットが多くあります。

・2024年4月からは相続登記が義務化となり、放置すると過料が発生します。法改正前の 不動産も対象になりますのでご注意ください。

・売却等で名義変更を急ぐ場合は、予め余裕をもってスケジュールを組むことをお勧めしま す。

 

いちえ司法書士事務所では、不動産が複数ある場合の名義変更にも対応しております。名古屋市内、愛知県内に限らず日本全国の相続登記を行っております。

相続人との面談の際に、必要書類のご案内とスケジュール、見積書の提示による登記費用の説明を行っております。

ご納得いただいてからの着手になりますのでご安心ください。

ご相談は予約制になっております。

お電話又はホームページのお問い合わせフォームからご予約ください。

相続登記の義務化はいつから?

2021-12-20

今回は相続登記の義務化についてお話していきます。

最近は各雑誌等で相続登記の義務化に関した記事を目にした方から、お問い合わせを頂く事が増えてきました。お問い合わせの大半が、長い間、相続登記をせずに放置していた相続人からです。

相続登記は、土地や建物等の不動産を所有している人が亡くなった場合に、名義を相続人に変更する手続きです。

相続登記の義務化については以前から議論や検討をされていましたが、2021年の4月に改正法が成立、公布され、公布後3年以内(2024年)に施行される予定です。

 

◆3年以内に登記申請を!

施行されると、相続の開始を知った日かつ所有権を取得したと知った日から3年以内に所有権移転登記の申請を行う事になります。なお、遺産分割協議で所有権を取得した場合は分割の日から3年以内に登記を申請しなければなりません。

 

◆申請人は誰?

亡くなった不動産名義人の相続人が基本的に申請義務を負うことになります。

 

◆10万円以下の過料

改正法では「申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処する」と定められました。

ただし、正当な理由がある場合は過料の対象外になります。

 

◆国庫に帰属させる

今回の法改正では相続した土地を国庫に帰属させる制度が設けられます。相続した土地を所有する事が困難で手放したい場合に国有地にしてもらう事を目的としています。

申請は法務局で法務大臣に申請します。申請した全てが認められるわけではなく、いくつかの要件があります。

・対象の土地に建物がある場合

・担保がついている場合

・境界が明らかでなく、争いがある場合

・ほかの人による使用が予定されている土地

・鉛やヒ素といった特定有害物質により汚染されている土地

などの場合は、認められません。

 

国庫に帰属させるには、承認申請時の手数料と10年分の管理費が必要です。

承認を得て所有権を放棄して全て終わりになるわけではないので注意して下さい。

 

◆相続登記の必要書類

 

遺言書が有るケース

遺言書

検認調書または検認済証明書 *公正証書遺言の場合は不要

戸籍謄本(被相続人) *死亡が確認できるもの

住民票の除票(被相続人)

戸籍謄本(不動産を相続する人)

住民票(不動産を相続する人)

選任審判書謄本(遺言執行者)*遺言書で遺言執行者が選任されている場合は不要

 

遺言書が無いケース(遺産分割協議 

遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・実印の捺印があるもの)

出生から死亡までの連続した戸籍(被相続人)

住民票の除票(被相続人)

戸籍(相続人全員)

印鑑証明書(相続人全員)

住民票(不動産を相続する人)

 

遺言書が無いケース(遺産分割協議 

出生から死亡までの連続した戸籍(被相続人)

住民票の除票(被相続人)

戸籍(相続人全員)

住民票(相続人全員)

 

◆費用

相続登記を司法書士に依頼する場合、費用が気になる方も多いと思います。

「不動産の名義変更」を行う為の「戸籍の収集」や「預貯金の解約手続」など、どこまで依頼するかによって費用が変わってきます。

費用が気になる方は当サイトのトップページに「相続パックのご案内」や「料金が心配な方へ」がございますので、こちらを参考にしてください。

また、ご来所の際は見積書の作成も可能です。

 

◆まとめ

長い間、相続登記を放置していると相続人を正確に把握するにも面倒な事が多くなります。

戸籍の収集も古い戸籍は読み解く事が難しく、引越などで住所を変えている場合や本籍地を変えている場合は地方の役所から取り寄せるにも時間と手間がかかります。また、顔を見たこともない相続人と連絡をとり、遺産分割協議書を郵送したり印鑑証明書の取得をお願いしたりするケースもあります。

相続登記をご自身でされる事をお考えの方もいらっしゃいますが、慣れない書類の収集や手間を考えると、専門家へ依頼する方が時間や費用の負担が軽いケースがあります。

相続登記の手続は天白区のいちえ司法書士事務所までご連絡いください。

 

ご相談は「完全予約制」になっております。

初回相談料は60分5,500円です。

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住所氏名変更登記の義務化について

2021-11-18

住所氏名変更登記の義務化に関しては、既にご存じの方もいらっしゃると思いますが、2021年4月の国会で正式に決まっております。

現時点での施行日は決まっておりませんが、改正後5年以内とされていますので2026年までには施行される予定です。

施行後は、住所氏名の変更があった日から2年以内に変更登記をしなければ罰則が課されます。

申請をすべき義務がある者が正当な理由なく申請を怠った場合には、5万円以下の過料に処されることになります。

 

◆義務化になった背景

通常、土地や建物など不動産の所有者に連絡をしたい場合は、法務局で登記事項証明書を取得し所有者を確認します。

登記事項証明書(登記簿謄本)には所有者の住所や氏名など、現在登記されている情報が記載されています。

例えば、道路の新設や拡張、河川の拡張、公園の開設など、公共事業を行うにも所有者と連絡が取れなくては進める事ができません。

対象の不動産を購入したり、借りたりすることができないため、不動産の有効活用ができなくなります。

現在は、不動産の所有者が引越や結婚で住所や氏名が変更されても、住所変更登記は任意のため、登記せず放置するケースが多くあります。

また、相続が発生しても相続登記を何年も放置し、登記していない人がいるため、所有者がわからなくなっている状態が起きています。

そのため、全国で不動産の所有者と連絡が取れなくなり「所有者不明土地」が増え、区画整理や都市開発などの妨げになっていることが問題とされていました。

以前から義務化に関して議論、検討されてきましたが、所有者不明土地の問題を解消、予防するために義務化が成立されました。

 

次に住所変更登記が必要なケースと不要なケースを確認していきましょう。

 

◆住所変更登記が必要な場合

・登記簿に記載されている不動産の所有者が転居している場合

・住居表示の実施が行われた場合

・行政区画の変更によって地番が変更された場合

 

不動産を所有している人が引っ越しをして住所が変わった場合、法務局へ住所変更登記を申請する必要があります。

不動産の売買や贈与などで所有権移転登記を行う場合、売主様の住所が現住所と登記簿上の住所が異なる場合があります。このような場合は、所有権移転登記を申請する際に、前提として住所変更登記を申請する必要があります。

また、銀行で融資を受け抵当権設定登記を法務局へ申請する場合も、所有者の登記簿上の住所が現住所と異なる場合は住所変更登記が必要です。

 

◆氏名変更登記が必要な場合

結婚や離婚、養子などで氏名が変更されている場合もございます。このような場合は氏名変更登記が必要です。

 

*尚、会社等法人の名称や所在地に変更があった場合や代表取締役など役員の住所氏名が

変更した場合も同様です。

 

◆住所変更登記が不要な場合

・不動産の所有者が死亡している場合

・地番変更を伴わない行政区画の変更が行われた場合

 

不動産の所有者が亡くなっている場合は相続登記が必要になり、住所変更登記は不要になります。

 

◆登記に必要な書類

住所変更登記の場合

・住民票:登記上の住所から現住所までのつながりがわかるもの。

     住民票の除票や戸籍の附票が必要な場合もあります。

氏名変更登記の場合

・戸籍謄本:又は戸籍抄本

・住民票:本籍地の記載があるもの

 

*ご依頼者本人が住民票や戸籍の取得が難しい場合は、住所氏名変更登記手続をご依頼の

場合に限り、司法書士が職務上請求書を使用し代行して取得する事ができます。

 

その他

・認印:シャチハタ印以外をご用意ください。

・身分証明証:免許証・パスポートなど

 

◆住所氏名変更登記の費用

・登録免許税:不動産の個数×1,000円(収入印紙)

 一戸建ての場合:土地+建物=2,000円になります。

 *土地や建物が複数ある場合は不動産の個数が増えますので登録免許税も加算されます。

・必要書類の取得費用:1,000円(税抜)+実費(1通200円~300円)

・郵送費:1,000円程度

・司法書士の報酬:10,000円~15,000円(税抜)程度

 

◆登記申請・完了

管轄の法務局の混雑状況にもよりますが、登記申請後、約1週間から10日程で手続が完了します。

登記完了日以降に法務局で登記完了証を受け取ります。

 

◆まとめ

2026年までに住所変更登記の義務化が開始される予定です。

義務化が開始されると住所氏名に変更があった日から「2年以内」に住所氏名変更登記を申請しなければなりません。

正当な理由なく義務に違反した場合には、5万円以下」の過料の対象となります。

義務化開始前の住所変更も対象となりますのでご注意下さい。

 

引越で住所が変わった場合、役所で住所変更の手続をしますが、登記簿の住所は自動的に変更されるわけではありません。ご自身で法務局に申請されるか、司法書士に依頼する方法になります。

不動産の住所変更登記を行わず放置していると必要な書類が揃わない事もあります。

住民票の除票は、役所での保存期間が5年のため、書類が破棄されて入手できない場合もあります。(令和元年6月からは保存期間が150年に変更されています。)

住所のつながりを証明する為の書類が入手できない場合は、権利書や不在籍証明書・不在住証明書を用意する場合もあります。

複雑な場合や平日は忙しく法務局へ申請できない方は、司法書士に依頼する事をお勧めします。

 

住所氏名変更登記でお困りの方は、天白区の「いちえ司法書士事務所」までお気軽にご連絡ください。

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相続した不動産は母親の名義で大丈夫!?

2021-10-18

いちえ司法書士事務所にご依頼頂く相続手続の中で最も多い事例は、父親が亡くなり残された母親と子が、相続した父親名義の自宅に住み続けるケースです。

このような場合に行う登記は「相続を原因とする所有権移転登記」になります。

一般的には相続登記と言われております。

不動産の名義人であった父親から相続人である母親と子へ所有権を移転します。

母親と子の共有名義にするのか、どちらか単独名義にするのかを相続人間で話し合う(協議する)必要があります。

 

一般的な遺産分割協議では

・「父親が建てた家なので配偶者の母親の名義にする方がよい」

・「跡取りである子の名義にするのがよい」

・「母と子が同居するので共有名義にするのがよい」

など、複数の考え方があります。

最も多いケースは、母親の名義にするケースが多いようです。

 

では、母親の名義にするのがベストなのでしょうか?

一般的に、父親と母親の年齢が近い事が多く、父親が亡くなった後、次に亡くなる可能性が高いのは「子」よりも「母親」になります。

母親の名義にすると将来どのようなことが起きるのか、いくつか例を挙げていきましょう。

 

■相続登記が2回必要

先程も申し上げましたが、父親と母親の年齢が近い夫婦は、父親の次に亡くなる可能性が高いのは母親になります。父親から母親の名義に相続登記をして一年も経たないうちに母親が亡くなったケースもあります。このような場合は、母親から子の名義にする為の相続登記手続が再度必要になります。

結果、短期間に相続登記を2回行う事になり、手間と費用も2回必要になってしまいます。

 

それでは、このような事を回避するにはどうすればよいのでしょうか?

父親の名義から母親の名義にはせずに、父親の名義から子の名義にする事で、相続登記は1回で済みます。

ですが、相続財産として相続する不動産以外に預貯金や株等があり、相続税の配偶者控除を適用した方がよいケースもあります。

また、子の名義になる事で子が勝手に自宅を売却して住むところを失うかもしれないなど不安に思う母親もいます。

相続財産の額や内容、親子の関係性によって、より良い相続財産の分け方や不動産の名義のつけ方が異なりますので、専門家に相談しながら検討する事をお勧めします。

 

■子が払う相続税が高くなる

「二次相続」という言葉を聞いた事があるでしょうか?

父親が亡くなった時(一次相続時)に相続人だった母親が亡くなり、子が相続する場合を「二次相続」と言います。

相続税は相続人の人数に応じて基礎控除があります。

父親の相続の時は母親と子がいましたが、母親が亡くなると相続人は子だけになります。

相続人が減れば控除額も減額され、課税される資産が高くなり相続税が高くなります。

二次相続の場合は、母親が亡くなっておりますので配偶者控除も利用できません。

更に、相続人の子が実家を離れて住んでいる場合は、小規模宅地等の特例も利用できません。

父親と母親の財産により状況が異なりますが、相続税を納税する子の負担が増えていきます。

このように、二次相続の場合は相続税が高額になる可能性があります。

配偶者控除や小規模宅地の特例など、相続税に関しては専門の税理士にご相談下さい。

 

■認知症になると相続した不動産を売却できなくなる

相続した時点では健康な母親でも、将来、健康状態が悪くなり、入院や介護が必要になった場合は介護施設に入るための費用がかかります。

費用を用意するために自宅を売却しようとする子供達もいます。

しかし、母親が認知症になっていたら判断能力が不十分であり、単独で法律行為ができないため、不動産を売却する事ができなくなります。

また、子供達が成年後見制度を利用して実家を売却しようとしても、裁判所が売却を認めるとは限りません。実際、認めないケースもあります。

このような場合を想定し、母親ではなく子の名義にしておくことも選択肢の一つです。

 

今回は父親が亡くなった場合、自宅の名義を父親から相続人である母親と子の誰にするかをお話して参りました。遺産分割協議をする際も、二次相続や相続財産の使い道などを考えながら行う事が重要です。

配偶者控除や小規模宅地の特例などについても、相続税を専門とする税理士に相談しながら進めていく事も大切です。

 

相続人が複数いると考え方にも違いがあります。相続を機に相続人である母親と子供の仲がこじれる事もあります。

相続手続をスムーズに進めることができるように、生前から家族の間でもしもの時の話をしておくのもよいでしょう。

また、相続人の負担を減らすために遺言書を書いておくも一つです。

 

不動産の名義変更でお困りの方は、地下鉄植田駅徒歩3分の「いちえ司法書士事務所」までご相談ください。初回相談から女性司法書士が対応致します。

不動産の売却前に行う相続登記

2021-09-18

今回は相続した実家を売却する前に相続登記が必要になるというお話をしていきます。

先日、天白区の不動産会社から相続登記のご紹介を頂きました。

登記簿を調べてみると、売却したい不動産の相続登記がされていない事が判明したため、売買の手続を進める前に相続登記をお願いしたいという内容でした。

 

司法書士に相続登記手続をご依頼いただく際は、手続を進めるにあたり、相続人から委任を受ける必要がございます。

今回は事務所へお越しいただき、相続人から直接お話を伺い、委任状に署名と捺印を頂きました。

 

売買を予定している物件は、天白区にあるご実家(土地と建物)で、名義は父親(被相続人)です。

相続人は子の2名(姉妹)になります。

姉妹のうち、1人は名古屋市内で、もう1人は愛知県外で生活されているそうで、ご両親が亡くなってからは空き家の状態が数年間続いていたという事です。

今回は隣地の方から購入したい旨の意向があり、相続人の姉妹で相談し売却する事を決めたそうです。

 

◆名義変更手続の流れ

不動産の名義人がお亡くなりになっている場合は

①相続人へ名義を変更します。

このことを「相続による所有権移転(相続登記)」と言います。

不動産の場合、銀行などの金融機関から融資を受けて購入しているケースが多くあります。

既に完済している場合でも抵当権の抹消登記がされていないケースがあります。その場合は抵当権抹消登記も必要になります。

 

②相続登記が完了してから、売買による所有権移転をします。

①で名義変更した相続人が売主になり、買主(購入者)へ売買による所有権登記をします。

買主が融資を受ける場合は、融資先の銀行(金融機関)が抵当権を設定しますので、買主は抵当権設定登記費用も必要となります。

 

◆遺産分割協議書の作成

今回のケースでは、父親の遺言書はありませんでした。

相続人が複数人いる場合、誰に不動産の所有権を移転するかを協議する必要があります。

このことを「遺産分割協議」と言います。

相続人の姉妹は、売買の手続の事も踏まえ、名古屋市内在住の姉が相続する事に合意しました。

相続人同士の遺産分割協議がまとまった場合は、遺産分割協議書を作成します。

司法書士は協議に参加する事はできません。特定の相続人の味方になることはできませんので、相続人同士で決めて頂きます。

相続人間で合意が得られない場合は、遺産分割協議書の作成ができません。

話し合いをまとめるために弁護士に依頼をして解決する方法や、家庭裁判所での調停を申し立てるという方法もあります。

 

◆不動産の名義

相続人全員の共有名義に変更する場合もありますし、相続人のうちの1人の単独名義にする場合もあります。

不動産取引においては、売主・買主・不動産仲介業者・司法書士が同席し、売買代金や諸費用の精算が行われます。

名義人は、売主として原則出席する必要があります。

通常、買主が振り込みを行う金融機関で手続を行います。

 

◆登記申請

すべての書類が整い、当事務所へのご入金が確認できましたら、管轄の法務局へ登記申請を行います。

申請方法は2つあります。

天白区にある不動産の場合、管轄は名古屋法務局名東出張所になります。

管轄の法務局へ申請書類を直接持ち込む方法と司法書士の事務所からオンラインで申請する方法があります。

いちえ司法書士事務所ではオンライン申請を導入しておりますので、全国の法務局へ出向くことなくスピーディーに登記申請を行う事ができます。

 

◆相続登記が完了するまでの期間

不動産の名義変更(所有権移転登記手続)は、各法務局の混雑状況にもよりますが、申請してから登記が完了するまで約1週間から10日程かかります。

相続登記の申請で対象の不動産が複数あり、法務局の管轄が多数にわたる場合は時間がかかります。売買日を決める際は注意が必要です。

 

◆まとめ

今回のケースは遺言書がありませんでした。相続人の姉妹は良好な関係でしたので争いが無く、話し合いで相続手続をスムーズに進めることができました。

相続登記が完了し、売買による所有権移転登記も無事に完了しましたので、ご実家の名義は買主様の名義に変更されました。

 

相続財産に不動産がある場合は、お早めに名義変更(相続登記)を行う事をお勧めします。

相続登記には相続税の申告のように期限はありませんが、時間が経過すると、相続人が認知症になり本人確認が難しくなったり、相続人が死亡したりする場合もあります。

相続人が死亡すると更に相続人が増え、当時の状況が分からない相続人が増えて手続が複雑になり時間や費用が多くかかるケースがあります。

 

相続財産の「不動産の名義変更」でお困りな方は、天白区の「いちえ司法書士事務所」までお気軽にご連絡ください。

ご相談は「完全予約制」になっております。

お電話・メール・LINE等で、ご予約を受け付けております。

 

◆初回相談

初回の相談時に、ご持参して頂きたい書類等は

  • ご来所される相続人の身分証明書(運転免許証など)
  • ご来所される相続人の認印
  • 不動産の固定資産税課税明細書(毎年4月頃に役所から発送されています。)
  • 相続する不動産の権利書
  • 相談料(初回相談5,500円税込) *手続をご依頼頂いた場合は不要です。

 

特に③を持参して頂いた場合は、不動産の登録免許税の計算ができますので、相続登記に関する概算の費用がわかります。

見積書の発行もできますので、事前に費用を把握する事ができます。

 

いちえ司法書士事務所では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「新しい生活様式」の実践として、事務所の入り口にアルコール消毒液と検温器の設置をし、面談室には飛沫防止アクリルパーテーション、加湿空気清浄機を設置しております。

面談テーブル・椅子・ドアノブ等のアルコール消毒や、ドア・窓を開放しての換気も行っております。

ご来所の際は、安心して面談できるよう環境を整えています。

 

女性の司法書士に相談をご希望の方は「いちえ司法書士事務所」までご相談ください。

予約ダイヤル:052-746-1181

権利証を紛失した場合の相続登記

2021-08-18

今回は「権利証が無くても相続登記ができるのか」という疑問についてお話していきます。

 

いちえ司法書士事務所が扱う登記手続のなかで、多くご依頼を頂くのが相続登記です。

ご依頼者の相続人からは「権利書を探したが見つからない」、「親がどこに保管しているのかわからない」等、権利書が紛失していることで相続した不動産の名義変更ができないのではと不安になられている方がいらっしゃいます。

 

  • 権利証の呼び方

「権利証」は建物を新築した際の所有権保存登記や、土地や建物の所有権移転登記が完了した際に法務局から交付されます。

「権利証」や「権利書」は通称で呼ばれているものです。

平成17年(2005年)3月7日の不動産登記法の改正前までは「登記済証」と呼ばれ、改正後は「登記識別情報」と言います。

「登記済証」は法務局の朱色の受付印が押してあります。

「登記識別情報」は12桁の英数字が羅列された暗証番号のようになっています。

この「登記識別情報」は法務局から交付される「登記識別情報通知書」に記載されています。

通知書の下部に番号が記載されており、目隠しのシールが貼られています。現在は様式が変更され、目隠しシールではなくミシン目を切って開封すると登記識別情報が確認できるように変更されています。

保管の際は、トラブル防止のの為にも「登記識別情報」が見られないように「シールをはがさない」また、「ミシン目を切って開封しない」ように保管して頂くことをお勧めします。

 

  • 権利証が無くても相続登記はできる

結論から申し上げると、権利証が無くても相続登記はできます。

相続登記はお亡くなりになった人(被相続人)から相続人へ不動産の名義を移転する手続になります。

対象の不動産を管轄する法務局に申請しますが、この時の添付書類として権利証は必要ありません。

理由としては、不動産の権利者はすでに亡くなっているため、意思に基づいて行う事は不可能だからです。申請人は不動産を相続する相続人であり、権利証は登記名義人が本人である証明になるものですから、相続登記の申請には必要ありませんので、ご安心ください。

ただし、相続登記でも権利書が必要となるケースもあります。

登記されている被相続人の住所と最後の住所との繋がりを除票等で証明できないケースです。

除票の保存期間は5年のため、被相続人が死亡してから5年以上経過しており除票が取得できない場合や、何度も住所変更しており繋がりが証明できない場合などです。

その際は、「被相続人の本籍地」と「登記されている被相続人の住所地」が同じ場合は権利書は不要ですが、異なる場合は権利書が必要となります。

権利書を紛失している場合は、相続人全員からの上申書や評価証明書等の別の書類を作成したり、役所で取得したりして手続を行う事となります。

 

このように権利証が無くても相続登記の申請はできますが、あった方が物件の把握も確実ですし、住所が変更している場合等必要なケースもありますので、ご不安な方はお問い合わせ下さいませ。

 

  • 売買の場合は必要

相続した不動産を相続人が売却するケースもあります。

この場合は、先に相続による所有権移転登記を行います。登記が完了すると相続人の名義になった権利証(登記識別情報通知)が法務局から交付されます。次に売買による所有権移転登記を行う場合は、相続登記の際に交付になった権利証(登記識別情報通知)が必要になります。

不動産の名義変更で原因が「売買」や「贈与」の場合は、法務局へ登記申請を行う為の添付書類として権利証が必要です。これは不動産を売却したり贈与したりする事の意思を証明する為に必要です。

紛失しないよう大切に保管して頂く事をお勧めします。もし、紛失してしまった場合は決済(売買を原因とする所有権移転)を担当する司法書士による「本人確認情報の作成」が必要になります。これは権利書の代わりになる書類になりますので、別途費用がかかります。

 

  • まとめ

権利証が無くても相続登記の申請は可能という事です。

しかし売買、贈与や遺贈などの手続には必要になりますので、大切に保管して頂くことをお勧めします。

 

相続した不動産の名義を変更する為には相続登記が必要です。

相続登記でお困りな場合は「いちえ司法書士事務所」までご連絡ください。

女性司法書士が面談させていただきます。

共有名義と単独名義どちらにすべき?

2021-07-20

相続した不動産を売却する場合、誰の名義にするとよいのでしょう?

相続登記を行う場合、共有名義と単独名義の2通りがあります。

迷われる相続人の方も多いのではないでしょうか。

今回は、相続した不動産を売却する場合の共有名義と単独名義のメリットとデメリットをお伝えします。

 

◆共有名義の場合

<メリット>

相続した不動産を相続人全員の名義にした後に不動産を売却します。

不動産の売主は相続人全員になり、売却代金は登記した持分に応じて分配されます。

更に売却手続も相続人全員で進める為、手続にかかる費用も平等になります。

また、相続人の一部の人が勝手に売却してしまうことを回避できます。

 

<デメリット>

相続人全員が売買契約への同意と不動産の売却手続に参加する必要があります。

相続人の内一人でも売買代金や売却先に不満があり、同意できない場合は売買を進める事はできません。

売却が決まり、最終的な残代金の支払日には、銀行に不動産仲介・売主・買主・司法書士が一堂に会し手続を進めます。その際に、売主として名義人の相続人全員が出席する必要があります。

通常、上記手続は法務局に申請ができる平日に行い、且つ法務局の申請時間に間に合うように設定されます。

また、買主が銀行で融資を受ける場合や売主の抵当権の抹消登記が必要な場合は銀行の営業時間内に行う必要があります。

もし、この時間に参加できない場合は、事前に本人確認を済ませておかなければなりません。

その際は、追加の費用と時間も必要になります。

名義人が多ければ多いほど、日程調整を行うのが大変です。

 

◆単独名義の場合

複数の相続人から代表者1人を選び、代表者の単独名義にする方法です。

代表者が売主となって売却した後に、売却代金を相続人全員で分配する方法です。

相続人の内、誰が代表者になるのか、売却代金の分配方法はどうするのかを、予め遺産分割協議書に記載しておく必要があります。

 

<メリット>

・不動産の売却に関する手続は名義人の代表者で可能になります。

複数の相続人の都合を調整するより、代表者一人の都合で売却の手続を進めることができますので、相続人が複数の場合と比べると早く手続を行う事ができます。

 

<デメリット>

・代表者が契約した売買の内容に、他の相続人が納得しない可能性があります。

不動産の売買契約は代表者1名で行う為、他の相続人が想定していた内容と異なる可能性もあります。

 

更に下記の納税に関しても注意が必要です。

・譲渡取得税

不動産の売却により売主に対し譲渡取得税が発生する場合があります。

不動産の名義を代表者1人にすると代表者に通知され、納税する事になります。

 

・住民税

不動産を売却すると翌年の住民税が増える場合があります。

但し、代表者個人の収入も含まれるので、相続人全員で負担する額を算出するのは簡単ではありません。

 

各種税金の詳細につきましては、税理士や管轄税務署に確認される事をお勧めします。

 

■共有名義と代表者単独名義、どちらにすべき?

不動産を売却する前には必ず相続登記が必要です。

すでに売却先が決まっている場合、相続人同士の関係性が良好で早く売却手続を進めたい場合や、トラブルになる可能性が低い場合は単独名義を選択されてもよろしいかと思います。

共有名義と代表者単独名義の選び方は売却時期や相続人間の関係性で判断される事をお勧めします。

 

いちえ司法書士事務所では初回の面談から女性司法書士が行います。

相続はデリケートな問題がございますので、相談しやすい専門家を選ばれることを、お勧めします。

当事務所の相続案件は、ご主人様がお亡くなりになり、相続人の奥様(配偶者)が、ご相談にお越しになるケースが多くあります。女性の司法書士を探され名古屋市外からもお越しになられます。

感染対策をしながら、プライバシーが保たれた個室でご相談をお聞きしております。

司法書士には、司法書士法第24条により、秘密保持義務が課されています。

安心してご相談下さい。

 

・相続した不動産の名義変更をしたい

・遺産分割協議書を作成したい

・戸籍謄本を集めたい

・法定相続情報一覧図の写しを取得したい

・解約手続をしたい銀行が何行もある

・仕事の都合で役所や銀行へ行けない

 

以上のような、相続の手続でお困りの方は、一度ご相談ください。

 

尚、相続人同士がもめている場合、司法書士は手続を進めることができませんので弁護士に依頼する事をお勧めします。

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