権利証を紛失した場合の相続登記

今回は「権利証が無くても相続登記ができるのか」という疑問についてお話していきます。

 

いちえ司法書士事務所が扱う登記手続のなかで、多くご依頼を頂くのが相続登記です。

ご依頼者の相続人からは「権利書を探したが見つからない」、「親がどこに保管しているのかわからない」等、権利書が紛失していることで相続した不動産の名義変更ができないのではと不安になられている方がいらっしゃいます。

 

  • 権利証の呼び方

「権利証」は建物を新築した際の所有権保存登記や、土地や建物の所有権移転登記が完了した際に法務局から交付されます。

「権利証」や「権利書」は通称で呼ばれているものです。

平成17年(2005年)3月7日の不動産登記法の改正前までは「登記済証」と呼ばれ、改正後は「登記識別情報」と言います。

「登記済証」は法務局の朱色の受付印が押してあります。

「登記識別情報」は12桁の英数字が羅列された暗証番号のようになっています。

この「登記識別情報」は法務局から交付される「登記識別情報通知書」に記載されています。

通知書の下部に番号が記載されており、目隠しのシールが貼られています。現在は様式が変更され、目隠しシールではなくミシン目を切って開封すると登記識別情報が確認できるように変更されています。

保管の際は、トラブル防止のの為にも「登記識別情報」が見られないように「シールをはがさない」また、「ミシン目を切って開封しない」ように保管して頂くことをお勧めします。

 

  • 権利証が無くても相続登記はできる

結論から申し上げると、権利証が無くても相続登記はできます。

相続登記はお亡くなりになった人(被相続人)から相続人へ不動産の名義を移転する手続になります。

対象の不動産を管轄する法務局に申請しますが、この時の添付書類として権利証は必要ありません。

理由としては、不動産の権利者はすでに亡くなっているため、意思に基づいて行う事は不可能だからです。申請人は不動産を相続する相続人であり、権利証は登記名義人が本人である証明になるものですから、相続登記の申請には必要ありませんので、ご安心ください。

ただし、相続登記でも権利書が必要となるケースもあります。

登記されている被相続人の住所と最後の住所との繋がりを除票等で証明できないケースです。

除票の保存期間は5年のため、被相続人が死亡してから5年以上経過しており除票が取得できない場合や、何度も住所変更しており繋がりが証明できない場合などです。

その際は、「被相続人の本籍地」と「登記されている被相続人の住所地」が同じ場合は権利書は不要ですが、異なる場合は権利書が必要となります。

権利書を紛失している場合は、相続人全員からの上申書や評価証明書等の別の書類を作成したり、役所で取得したりして手続を行う事となります。

 

このように権利証が無くても相続登記の申請はできますが、あった方が物件の把握も確実ですし、住所が変更している場合等必要なケースもありますので、ご不安な方はお問い合わせ下さいませ。

 

  • 売買の場合は必要

相続した不動産を相続人が売却するケースもあります。

この場合は、先に相続による所有権移転登記を行います。登記が完了すると相続人の名義になった権利証(登記識別情報通知)が法務局から交付されます。次に売買による所有権移転登記を行う場合は、相続登記の際に交付になった権利証(登記識別情報通知)が必要になります。

不動産の名義変更で原因が「売買」や「贈与」の場合は、法務局へ登記申請を行う為の添付書類として権利証が必要です。これは不動産を売却したり贈与したりする事の意思を証明する為に必要です。

紛失しないよう大切に保管して頂く事をお勧めします。もし、紛失してしまった場合は決済(売買を原因とする所有権移転)を担当する司法書士による「本人確認情報の作成」が必要になります。これは権利書の代わりになる書類になりますので、別途費用がかかります。

 

  • まとめ

権利証が無くても相続登記の申請は可能という事です。

しかし売買、贈与や遺贈などの手続には必要になりますので、大切に保管して頂くことをお勧めします。

 

相続した不動産の名義を変更する為には相続登記が必要です。

相続登記でお困りな場合は「いちえ司法書士事務所」までご連絡ください。

女性司法書士が面談させていただきます。

 

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