相続した不動産が複数ある場合、相続登記は同時にできるの?

相続が発生し、不動産の名義変更をしたいという相談を受ける際に、亡くなられた方(被相続人)が複数の不動産をお持ちであったというケースがあります。

相続人が複数いる場合は、どなたが不動産を引き継ぐかという事を相続人全員で話し合いをし、所有権移転登記(相続登記)をします。

では、仮に不動産の所在地が愛知県、岐阜県や三重県等それぞれ異なる場合は、どのような順番で相続登記を行っていくのでしょうか?

土地や建物の種類によって登記する順番が決まっているのでしょうか?

不動産の所在地によって順番が決まっているのでしょうか?

それとも、順番はなく複数の不動産の名義変更を同時に登記申請できるのでしょうか?

今回はこのような疑問について、相続登記の流れとともにお答えしていきます。

 

■父名義の不動産を母の名義に変更したい場合

【事例】

被相続人:父

相続人:母、長男

不動産:自宅(愛知県)

    土地(岐阜県・三重県)

 

1.遺言書の有無

公正証書遺言の場合は全国の公証役場で調べることができます。

自筆証書で作成した遺言書が見つかった場合は、開封前に裁判所での検認手続が必要です。

また、法務局での自筆証書遺言書保管制度を利用している場合もあります。

遺言書保管所である法務局で、遺言書情報証明書の交付や遺言書の閲覧、遺言書保管事実証明書の交付ができます。

 

2.相続人の確定

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、除籍、原戸籍謄本を取得し、誰が相続人かを確定します。

戸籍謄本等は役所で取得することができます。被相続人が結婚や離婚、引っ越しをしている場合は注意が必要です。

このような場合は、被相続人が本籍をその都度変更している場合がありますので、さかのぼって本籍のある各役所で取得することになります。

本籍地の役所が遠方で出向く事が難しい場合は、郵送で取得することが可能です。郵送する際は、郵便局で戸籍謄本分の定額小為替を購入し必要書類とあわせて役所へ郵送します。

最近の戸籍謄本はコンピューター化されて読みやすくなっていますが、昔の戸籍は文字を崩して書かれており、読み解くことが難しい場合があります。

また、仕事が忙しく、平日の役所の開庁時間に出向くことが困難な場合や郵送での取得が面倒に思う方もいらっしゃいます。

そのような場合は、司法書士が代わりに取得することもできます。ただし、相続登記のように不動産登記を法務局へ申請する際に提出する必要がある場合に限ります。

相続登記手続のための戸籍謄本の取得をご希望の場合は、いちえ司法書士事務所までご相談ください。

 

3.相続する不動産の確認

・権利証(登記済証・登記識別情報通知)

・課税明細書、固定資産税評価証明書、名寄帳など

・登記簿謄本(登記事項証明書)

上記の書類を基に被相続人名義の不動産を確認します。

 

4.必要書類の取得

上記3の戸籍をあわせて、その他の必要書類を取得します。

その他の必要書類とは、相続人全員の戸籍謄抄本、相続人全員の印鑑証明書、不動産を取得する相続人の住民票や被相続人の住民票の除票等です。

その他、別途書類が必要となるケースもありますので、ご相談の際に詳しくご説明します。

 

5.遺産分割協議書の作成

相続人の間で、被相続人の財産のうち何を誰がどれだけ引き継ぐかといった協議内容を書面にします。それが遺産分割協議書です。

相続財産として不動産、現金、預貯金、有価証券や車などを記載します。

相続人の間で協議がまとまらない場合は、遺産分割協議書を作成することはできません。

紛争に発展しそうな場合は、司法書士、税理士、行政書士等は業務外になりますので、弁護士に相談することになります。

 

6.書類への捺印

遺産分割協議書や委任状など登記申請に必要な書類を当事務所で作成し、ご捺印いただきます。

 

7.登記費用のお支払

相続人が法務局の窓口で登記申請する場合は、登録免許税額の収入印紙を購入し、台紙に貼付し申請書類と共に窓口に提出します。

当事務所が相続登記の申請をする場合は、原則、オンライン申請で行います。

オンライン申請の際に登録免許税を納付する必要がありますので、当事務所でお手続きさせていただく場合は、登記費用(登録免許税及び司法書士報酬)をいただいた後に登記申請いたします。

現金で持参していただくか振込のどちらかになります。なお、登記費用に関しては、面談の際にお見積りさせていただきます。

ご納得していただいてから着手して参りますので、ご安心ください。

 

8.登記申請

相続した土地や建物の不動産が複数ある場合でも、対象の不動産を管轄する法務局が同じであれば同時に登記申請ができます。

しかし、今回のように相続する不動産が3物件あり、管轄する法務局が愛知県、岐阜県、三重県に分かれている場合は、同時に登記申請はできません。

登記申請する順番を仮に1番目に愛知県の法務局に登記申請をします。

登記が完了したら次は2番目として岐阜県の法務局へ申請し、完了したら3番目として三重県の法務局へ順番に申請することになります。(※この順番に決まりはありません。)

法務局へ登記申請する際に、戸籍謄本や遺産分割協議書の原本を提出する必要がありますので、1か所目の法務局へ登記を申請すると2か所目、3か所目を重複して申請することはできません。

申請方法は、管轄する法務局の窓口に出向いて申請する方法や郵送で申請する方法、オンライン申請を導入している司法書士事務所から申請する方法があります。

いちえ司法書士事務所では、オンライン申請を導入しておりますので法務局の窓口へ出向くことなく、スピーディーに日本全国にある不動産の名義変更(所有権移転)が可能です。

行政書士や弁護士に戸籍謄本の取得や、遺産分割協議書の作成をお願いした場合でも、相続登記を申請できるのは相続人又は司法書士のどちらかになります。(※法的には弁護士も可能ですが、登記業務を専門としている司法書士に任せる場合が多いです。)

 

9.登記完了

管轄の法務局の混雑状況にもよりますが、登記申請から完了まで約1週間から10日前後かかりますので、3物件全ての登記手続が完了するまでに約1か月かかります。

ご自身で登記の完了予定日を確認したい場合は、法務省のホームページから確認することができます。

 

■まとめ

・不動産が複数あっても、所在地を管轄する法務局が同じであれば同時に登記申請することが できます。

・相続する複数の不動産の所在地を管轄する法務局がそれぞれ異なる場合は、それぞれの法務 局で順に申請することになります。

・相続財産に不動産がある場合は相続登記が必要です。戸籍謄本の取得から遺産分割協議書の 作成、相続登記まで司法書士に依頼するメリットが多くあります。

・2024年4月からは相続登記が義務化となり、放置すると過料が発生します。法改正前の 不動産も対象になりますのでご注意ください。

・売却等で名義変更を急ぐ場合は、予め余裕をもってスケジュールを組むことをお勧めしま す。

 

いちえ司法書士事務所では、不動産が複数ある場合の名義変更にも対応しております。名古屋市内、愛知県内に限らず日本全国の相続登記を行っております。

相続人との面談の際に、必要書類のご案内とスケジュール、見積書の提示による登記費用の説明を行っております。

ご納得いただいてからの着手になりますのでご安心ください。

ご相談は予約制になっております。

お電話又はホームページのお問い合わせフォームからご予約ください。

 

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