遺産相続の際、相続人の間で相続トラブルが起こることが多いです。
相続の際のトラブルは、誰がどの遺産をもらうかという遺産分割協議において、意見が合わずにもめてしまう時に特に起きやすいと言えるでしょう。 そこで、予め遺言書によって、誰がどの遺産をもらうかを書いてもらっておけば、相続トラブルの大部分を回避することができるはずです。
しかし、遺言を書いて欲しいというようなことは、たとえ相手が親であっても頼みにくいものですし、言っても聞いてくれない親もいます。 そこで、親などに遺言書を書いてもらうために、行っていただくと効果的かと思われる方法をいくつかご紹介していきます。
「遺言書を書いて欲しい」とストレートに依頼してみる
子どもたちの立場から、ストレートに「遺言書を書いて欲しい」という希望を思い切って伝えてみるのが効果的な場合も多いと思います。
遺言書を書かない親は、「遺言するかしないかなどは、自分の気持ちひとつの問題であり、子どもたちはそのようなことには関心がない」と思い込んでいることもあります。 もちろん「遺言」というと死を連想させますので、何となく言い出しにくいということもあるでしょう。また、遺産を狙っているように思われるのが嫌だというのもあります。
こうした言い出しにくい点がおおくあることから、遺言や相続の問題は、普段の生活で話をしないことが多いのです。
お互いに気にはなっていても、親としては「気にしているのは自分だけ」だと思っていることがあるのです。
そこで、子どもの立場からも将来のために遺言書を作成してほしいという気持ちをはっきりと告げることにより、親もはじめて「子どもたちも気になっていたのか」ということがわかり、「それなら遺言書を作成しよう」という気持ちになるかもしれません。
遺言書がないと相続トラブルが起こる可能性があることを説明する
被相続人自身に、遺言書がないことのリスクを分かってもらうことも重要でしょう。 遺言書を書かない親は、遺言書がないとどのような問題が起こるのかが実際にわかっていないことも多いと思われます。
ですから、遺言書がない場合どのようなことが起こる可能性があるか、具体的に調べて説明することで遺言の大切さをわかってもらいましょう。 遺産トラブルのケースを集めた本などを参考にして説明しても良いですし、ネットの情報などでもかまわないので、「遺産トラブル」というものがあるということを分かってもらったうえで、遺言を作成してもらえるよう促してみましょう。
遺言書の作成手続きを手伝う
親が遺言書を作成しない場合、遺言書の作成手続きが面倒であると感じていたり、遺言書の作成方法がわからなかったりすることもあります。
遺言にはいくつかの種類があって、自筆証書遺言や公正証書遺言がよく利用されます。しかし、そのうちどちらをどのように作って良いのかわからないケースも多いです。
そこで、子どもたちが遺言書の作成方法を調べて適切な方法を教えてあげて、作成を手伝ってあげるとスムーズに遺言書を作成できることがあります。
たとえば公正証書遺言を作成するなら、遺言書の内容を考えて、公証人役場に申し込んで手続きをする必要があります。文案を一緒に考えて、公証役場への申込をし、一緒に公証人役場に行ってあげることで、親も抵抗なく遺言書を作成出来ることが多いです。
司法書士にご相談いただければ、遺言書に残したい内容をお伺いし、こちらで文案を作成させていただくこともできます。 その後も公正証書遺言作成の当日も公証役場まで同行させて頂きますし、証人になることもできます。
遺言書を作成するというと、マイナスなイメージを持たれる方も多いかとは思いますが、遺言書は、家族に残すことができる最後の手紙でもあります。
相続財産の分配方法などを書くだけではなく、生前には言えなかった感謝の気持ちや、後継者に託す願い、今後の家族の在り方など様々な「思い」を書くこともできます。
堅苦しく考えず、相続人への手紙だと思って遺言書を書いてみませんか?