相続した不動産は母親の名義で大丈夫!?

いちえ司法書士事務所にご依頼頂く相続手続の中で最も多い事例は、父親が亡くなり残された母親と子が、相続した父親名義の自宅に住み続けるケースです。

このような場合に行う登記は「相続を原因とする所有権移転登記」になります。

一般的には相続登記と言われております。

不動産の名義人であった父親から相続人である母親と子へ所有権を移転します。

母親と子の共有名義にするのか、どちらか単独名義にするのかを相続人間で話し合う(協議する)必要があります。

 

一般的な遺産分割協議では

・「父親が建てた家なので配偶者の母親の名義にする方がよい」

・「跡取りである子の名義にするのがよい」

・「母と子が同居するので共有名義にするのがよい」

など、複数の考え方があります。

最も多いケースは、母親の名義にするケースが多いようです。

 

では、母親の名義にするのがベストなのでしょうか?

一般的に、父親と母親の年齢が近い事が多く、父親が亡くなった後、次に亡くなる可能性が高いのは「子」よりも「母親」になります。

母親の名義にすると将来どのようなことが起きるのか、いくつか例を挙げていきましょう。

 

■相続登記が2回必要

先程も申し上げましたが、父親と母親の年齢が近い夫婦は、父親の次に亡くなる可能性が高いのは母親になります。父親から母親の名義に相続登記をして一年も経たないうちに母親が亡くなったケースもあります。このような場合は、母親から子の名義にする為の相続登記手続が再度必要になります。

結果、短期間に相続登記を2回行う事になり、手間と費用も2回必要になってしまいます。

 

それでは、このような事を回避するにはどうすればよいのでしょうか?

父親の名義から母親の名義にはせずに、父親の名義から子の名義にする事で、相続登記は1回で済みます。

ですが、相続財産として相続する不動産以外に預貯金や株等があり、相続税の配偶者控除を適用した方がよいケースもあります。

また、子の名義になる事で子が勝手に自宅を売却して住むところを失うかもしれないなど不安に思う母親もいます。

相続財産の額や内容、親子の関係性によって、より良い相続財産の分け方や不動産の名義のつけ方が異なりますので、専門家に相談しながら検討する事をお勧めします。

 

■子が払う相続税が高くなる

「二次相続」という言葉を聞いた事があるでしょうか?

父親が亡くなった時(一次相続時)に相続人だった母親が亡くなり、子が相続する場合を「二次相続」と言います。

相続税は相続人の人数に応じて基礎控除があります。

父親の相続の時は母親と子がいましたが、母親が亡くなると相続人は子だけになります。

相続人が減れば控除額も減額され、課税される資産が高くなり相続税が高くなります。

二次相続の場合は、母親が亡くなっておりますので配偶者控除も利用できません。

更に、相続人の子が実家を離れて住んでいる場合は、小規模宅地等の特例も利用できません。

父親と母親の財産により状況が異なりますが、相続税を納税する子の負担が増えていきます。

このように、二次相続の場合は相続税が高額になる可能性があります。

配偶者控除や小規模宅地の特例など、相続税に関しては専門の税理士にご相談下さい。

 

■認知症になると相続した不動産を売却できなくなる

相続した時点では健康な母親でも、将来、健康状態が悪くなり、入院や介護が必要になった場合は介護施設に入るための費用がかかります。

費用を用意するために自宅を売却しようとする子供達もいます。

しかし、母親が認知症になっていたら判断能力が不十分であり、単独で法律行為ができないため、不動産を売却する事ができなくなります。

また、子供達が成年後見制度を利用して実家を売却しようとしても、裁判所が売却を認めるとは限りません。実際、認めないケースもあります。

このような場合を想定し、母親ではなく子の名義にしておくことも選択肢の一つです。

 

今回は父親が亡くなった場合、自宅の名義を父親から相続人である母親と子の誰にするかをお話して参りました。遺産分割協議をする際も、二次相続や相続財産の使い道などを考えながら行う事が重要です。

配偶者控除や小規模宅地の特例などについても、相続税を専門とする税理士に相談しながら進めていく事も大切です。

 

相続人が複数いると考え方にも違いがあります。相続を機に相続人である母親と子供の仲がこじれる事もあります。

相続手続をスムーズに進めることができるように、生前から家族の間でもしもの時の話をしておくのもよいでしょう。

また、相続人の負担を減らすために遺言書を書いておくも一つです。

 

不動産の名義変更でお困りの方は、地下鉄植田駅徒歩3分の「いちえ司法書士事務所」までご相談ください。初回相談から女性司法書士が対応致します。

 

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