遺産分割協議書はどんな時に必要なの?

金融機関や法務局などで相続手続をする際に「遺産分割協議書はありますか?」と、ほとんどのケースで聞かれるでしょう。
「遺産分割協議書」は、相続手続以外では、日常生活をする上で耳にしない言葉ですが、遺産分割協議書とはいったいどのような時に必要なのでしょうか?
今回は遺産分割協議書についてお話していきましょう。

まず遺産分割協議書を作ることは法律で決まってはいません。
ですから、必ず作成しなくてはいけないということはありません。
では、どのような時に作成する必要があるのでしょうか。
それは、民法で定められた法定相続分と異なる割合で相続財産を分ける時です。
言い換えれば、法定相続分通りに相続財産を分ける場合は、遺産分割協議をする必要はありません。
具体例でご説明しましょう。

・被相続人(お亡くなりになった方):父
・相続人:母・子2人(長男・次男)
・相続財産:不動産(自宅)、預貯金、株式

このような場合に、法定相続分は母2分の1、長男・次男それぞれ4分の1ずつとなります。
ですが、「相続財産のうち不動産は長男が、預貯金は母が、株式は次男が相続する」と相続人同士で話し合いをした場合には、法定相続分と異なる分け方となりますので、相続手続を行う際には、遺産分割協議書が必要となります。
このように、法定相続分と異なる割合で相続財産を分けた場合に、お亡くなりになった方の相続財産のうち不動産の名義を変えるために、法務局に遺産分割協議書を提出します。預貯金を解約、名義変更をする際にも金融機関から遺産分割協議書の提示を求められます。
相続税の申告にも必要な場合があります。

◆不動産の相続登記

相続人同士で遺産分割協議を行い、特定の方が不動産を相続することになった場合は、不動産を相続される方が法務局で不動産の名義変更の登記申請手続をします。
この登記申請手続は、「相続登記」と言われることもありますが、具体的には、不動産の所有者名義を被相続人(お亡くなりになった方)から相続人の名義に移すこと(所有権移転)と言います。
遺産分割協議に基づく相続登記をするためには遺産分割協議書が必要です。
法務局で登記申請をする際には、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書を併せて提出します。
遺産分割協議書には不動産の表示を正確に記載しておかないと相続登記ができませんので、ご注意ください。

◆預貯金の解約や出金、証券の名義変更

ほとんどの方は、最低1つはどこかの金融機関に口座をお持ちではないでしょうか。
相続が発生したときに、お亡くなりになられた方の預金口座についても、法定相続分と異なる割合で相続する場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い誰がどれだけ預貯金を相続するか決めます。
協議をした後は、実際に相続する相続人が金融機関に行き、解約・名義変更の手続をします。その手続の際に「遺産分割協議書」が必要になります。
金融機関によっては指定の書式が決まっており、その用紙に署名・捺印をすればよいケースもありますので、事前に金融機関に問い合わせをすることをお勧めします。
また、お亡くなりになった方が証券(株式)をお持ちの場合にも、相続する人を決め、証券の名義変更をします。その際にも「遺産分割協議書」が必要になります。

◆相続税の申告

亡くなられた方の相続財産の評価額が基礎控除を超えない場合には、相続税が課税されません。この場合、相続税の申告と納税は不要になります。
宅地の額を引き下げる小規模宅地の特例や、配偶者が受け取る財産が法定相続分又は1億6千万円までは非課税になる配偶者の特例などの減税措置を利用したい場合には、遺産分割協議書の提出が必要になります。以上のように遺産分割協議書は、さまざまな相続手続で必要となります。

また、遺産分割協議書は、相続人同士が納得した証となりますので、相続トラブルを防ぐという点においても作成する意味があります。
相続人同士の口約束で済ませるより、トラブルを未然に回避するためにも作成しておいた方が、お互いの関係を良好に保つ事ができるでしょう。

遺産分割を行った場合は、正しい遺産分割協議書を作成することをお勧めします。
遺産分割協議書の作成などでお困りの方はお気軽にご相談ください。

 

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