この遺言書は無効ですか!?

故人が遺言書を書いてくれていても、その遺言書を使って相続手続ができない場合があるということをご存知ですか?

遺言書にはいくつか種類がありますが、一般的に故人が全文を自書し、自宅等に保管していた遺言書を「自筆証書遺言書」と言います。
自筆証書遺言の書き方は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と民法968条で定められています。
故人が亡くなり、この自筆証書遺言書を見つけた場合、勝手に開けて読んではいけません。
自筆証書遺言書の場合、開封するためには、家庭裁判所での「検認」という手続が必要となります。検認手続を経ないで開封した場合は、5万円以下の過料に処せられますので注意が必要です。
なお、公正証書遺言の場合は、検認手続が不要です。

検認手続とは、「相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。」(裁判所HP抜粋)
家庭裁判所では遺言書の内容が有効なのか無効なのかを判断してくれるわけではありません。
ですので、検認手続を経たからといって、その遺言書を使って必ずしも相続手続ができるというわけではないのです。

先程お話した民法968条で自筆証書遺言の書き方は決められています。
①遺言者が全文を自書②日付、氏名を自書③押印が必要となります。
①~③の一つでも欠けている場合は、形式的に無効となってしまいます。
また、内容の部分でも、曖昧で不明確な記載の場合には、無効となるケースがあります。

不動産の名義を変えるには法務局で所有権移転の登記(相続登記)が必要です。
相続財産の中に不動産がある場合には、遺言書には登記簿の記載通りに書く必要があります。
せっかく遺言書があっても不動産の記載が曖昧な場合は登記申請では使用することはできません。遺言書の内容が曖昧な場合は残念ながら有効な遺言書とは言えないのです。

では、どうしたら不動産の名義を移せるのでしょうか?
一つの方法としては、相続人全員で遺産分割協議をすることです。
遺産分割協議をし、相続人全員で相続財産の分け方について合意が得られた場合に、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は、一般の個人の方が作成しようとすると、インターネットや書籍で調べて作成することが多いと思いますが、調べる時間と手間がかかります。
更に遺産分割協議書以外にも、相続関係説明図の作成や戸籍の収集などの登記申請に必要な書類を、普段の生活をしながら作成し揃えていくには大変手間と時間がかかります。
間違った内容ではやり直しがあり、何度も法務局へ足を運ぶことにもなります。
作成した遺産分割協議書に持参又は郵送で相続人全員から署名と実印を押印してもらい、印鑑証明書も用意してもらわなくてはならなりません。

仕事をしている相続人だと平日の役所が開いている時間に印鑑証明書を用意してもらうには負担をかけることになります。
相続人の中には海外に滞在している方や認知症で施設に入っているなど、スムーズに進まないケースもあります。
普段から仲が悪いとこちらの都合を頼むことは難しく、精神的なストレスを感じるかたも多いようです。

有効な遺言書を作成しないと残された相続人が迷惑に感じたり負担に思うことがあります。場合によっては争族になるケースもあります。
亡くなる前に争族が起きないよう、残された親族のためにも有効な遺言書が必要です。
相続手続はワンパターンではありません。
全ての相続は各家庭の状況が違うため、個別な対応が必要です。

司法書士は登記の専門家ですが、特に遺言や相続を多く扱っている司法書士に依頼することをお勧めします。
当事務所では遺産分割協議書の作成のご相談・ご依頼を多くいただいております。
自筆証書遺言か公正証書遺言かどちらが良いか等もアドバイスさせて頂きますし、公正証書遺言の作成の場合には、公証人とのやり取りや文案の作成もサポートさせて頂きます。
お気軽にご相談ください。

 

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