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「配偶者居住権」とはどんな権利でしょうか?

2019-08-13

「配偶者居住権」(新民法1028条-1036条関係)は前回お話ししました「配偶者短期居住権の新設」と同じく今回の相続法改正の中で特に注目の「配偶者の居住権を保護するための方策」です。施行は2020年4月1日になります。

 

配偶者が相続の開始時にお亡くなりになった方が所有する建物に住んでいた場合に、終身または一定期間、その建物を無償で使用することができるという権利です。

相続財産のうちの建物について「負担付きの所有権」と「配偶者居住権」の二つの権利に分けて、遺産分割の時などに、配偶者が「配偶者居住権」を取得し、配偶者以外の相続人が「負担付きの所有権」を取得することを可能にしたものです。

 

この配偶者居住権は、自宅に住み続けることができる権利になりますが、完全な所有権とは違いますので、自由に貸したり、人に売ったりすることはできませんがその分、評価額を低く抑えることができます。

 

この「配偶者居住権」の新設のおかげで、配偶者は住み慣れた自宅に住み続けながら、預貯金などの他の財産もより多く取得できるようになります。

配偶者はその後の生活の安定を図ることができます。

遺産分割等の選択肢の一つとして,配偶者対し「配偶者居住権」を取得できるようになります。

今までの相続法では、夫名義の不動産(自宅)に長年住んでいた妻が、遺産分割等で不動産を取得できない状態であれば、居住の権利が保護されない可能性がありました。このことは以前から問題視されていました。

 

例えば

お亡くなりになった方の遺産:不動産 5000万円+現預金 5000万円=遺産総額1億円

相続人:配偶者と子1人

というケースですと

 

【現行では】

《事例1》

子が現預金5000万円を相続し、配偶者が居住している不動産(自宅)を相続した場合、不動産の相続で法定相続分に達してしまい、住むところは確保できても現金が無く今後の生活に不安が生じる。

 

《事例2》

子が不動産を相続し配偶者は現預金5000万円を相続すると法定相続分に達するので住み慣れた不動産(自宅)に住み続けるには子の協力と理解が無ければ難しい。

 

このような事例の問題を改善するために今回の改正相続法で、配偶者居住権の保護が盛り込まれることになりました。

 

配偶者居住権の新設によって、亡くなった方の名義の居住建物の所有権を配偶者が相続しない場合でも、配偶者居住権を取得すれば、生涯無償で居住建物に住み続けられるという権利です。

配偶者は今後も住み慣れた住居で安心して暮らすことができるようになります。

 

【改正後】では

子が所有権を持つ:不動産(自宅)2500万円+現預金2500万円

配偶者は居住権を持つ:不動産(自宅)2500万円+現預金2500万円

 

配偶者は不動産(自宅)と現預金を相続することができ、住み慣れた不動産(自宅)に住み続け現預金も確保し、安心して生活ができるようになります。

仮に亡くなった方の名義の居住建物の所有権は子が取得し、配偶者には配偶者居住権を認めることで配偶者は生涯無償で居住することができるようになります。

このように不動産(自宅)を所有権と居住権に分けて相続する事が可能になります。

この配偶者居住権は、遺産分割協議、遺贈、審判などで認められる必要がありますが、第三者に対抗するためには、登記する必要があります。

「配偶者短期居住権」とはどのような権利でしょうか?

2019-08-10

今回は、相続法改正の中で特に注目の「配偶者の居住権を保護するための方策」について

お話ししていきましょう。

 

配偶者の居住権を保護するための方策として2020年4月1日に施行されるのが

「配偶者短期居住権の新設」(新民法1037条-1041条関係)です。

この権利は、相続開始の時に亡くなられた方が所有する建物に他方の生存配偶者が居住していた場合には、遺産の分割が終了されるまでの一定期間、その建物に無償で住み続けることができるという権利です。

配偶者短期居住権は、お亡くなりになった方の意思などに関係なく、相続開始時から発生します。原則として、遺産分割によって自宅を誰が相続するかが確定した日(その日が相続開始時から6か月を経過する日より前に到来するときには、相続開始時から6か月を経過する日)まで、配偶者はその建物に住むことができ、その間は居住権が保護されるという権利になります。つまり、最低存続期間は、相続開始から6か月間といえます。

また、ご自宅がお亡くなりになった方の遺言により第三者に遺贈された場合や、配偶者が相続放棄をした場合には、その建物の所有者が権利の消滅の申入れをした日から6か月を経過する日まで、配偶者はその建物に住むことができます。

 

例えば、何かの事情で「配偶者居住権」が認められないケースで生涯無償で居住する事が難しい状況でも、この「配偶者短期居住権」により、一定期間は居住している建物に無償で住むことができるようになります。

この場合の一定期間とは、「遺産分割により居住建物の帰属が確定した日」または「相続開始時から6ヶ月を経過する日」のいずれか遅い日となっています。

相続法はどのように改正されるの?

2019-08-08

今回は、平成30年7月6日に成立した「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」と「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(平成30年法律第72号)についてお話ししていきます。

 

民法では、相続で起こるトラブルを防ぐために、

・誰が相続人になるのか?

・遺産は何か?

・被相続人の権利義務がどのように受け継がれるか?

など、相続の基本的なルールが定められています。

この民法のなかで相続について規定した部分を「相続法」と言います。

 

相続法の分野では、昭和55年以来、大きな改正はされてきませんでした。

高齢化が進むなど社会の経済環境の変化に対応するため、今回、約40年ぶりに大きな見直しが行われました。

今回の改正は、2019年(平成31年)1月13日から段階的に施行されていきます。

 

それではわたしたちの生活において相続はどのような点が変わっていくのでしょうか?

 

今回の相続法改正では主に次の点が改正されます。

 

1.配偶者の居住権を保護するための方策として *2020年4月1日施行

(1)配偶者短期居住権の新設

(2)配偶者居住権の新設

2.遺産分割等に関する見直しとして *2019年7月1日施行

(1)配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示推定規定)

(2)遺産分割前の払戻し制度の創設等

(3)遺産の分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲

3.遺言制度に関する見直しとして

(1)自筆証書遺言の方式緩和 *2019年1月13日施行

(2)遺言執行者の権限の明確化 *2019年7月1日施行

(3)公的機関における自筆証書遺言の保管制度の創設 *2020年7月10日施行

4.遺留分制度に関する見直し *2019年7月1日施行

5.相続の効力等に関する見直し *2019年7月1日施行

6.相続人以外の者の貢献を考慮するための方策 *2019年7月1日施行

 

ポイントとしては、

配偶者の保護を目的とする新たな制度を設けたことです。少子化高齢化が進むにつれ、配偶者の保護の必要性がより高まってきていること、特に高齢の配偶者にとっては居住の権利の保護を図ることが重要であると考えられ、新たな権利が創設されます。

お亡くなりになった方が配偶者に対し居住用不動産の遺贈や生前贈与をした場合、持戻し免除の意思表示があったものと法律上推定する規定が設けられます。

また、遺言の利用を促進するための方策も多く含んでいます。現代の家族の在り方が多様化している事に伴い、現行の民法をそのまま当てはめると実質的な不公平が生じるケースがあるということで見直しされています。

その他、相続人を含む利害関係人の実質的公平を図るための見直しがされます。

このように、お亡くなりになった方の配偶者の生活や遺言を利用することで相続の紛争を防ぐなど、新たな制度が設けられます。

 

今回の相続法の改正により、自分が亡くなったとき、あるいは家族が亡くなったときに発生する相続に関して、どのような点がどのように変わったのか?

その方策ごとの内容を見ていきましょう。

次回は「配偶者の居住権を保護するための方策」についてお話ししていきます。

不動産の名義変更を忘れていませんか?

2019-07-25

・相続が発生した際に、税理士に相続税の申告を依頼したけれど、不動産の名義変更を

 していない方

・相続税の申告をする必要が無かったため、そのまま不動産の名義変更もしていない方

 

どちらかに当てはまる方は、このまま不動産の名義変更をせずに放置しておくと

次のようなデメリットがあります。

 

・相続した不動産を売却できない

・相続した不動産を担保に融資を受けることができない

・相続人を確定させるのが複雑になる

 

どれも重要な事ですが、相続が発生している場合には、相続人への不動産の名義変更を行った後でなければ、対象の不動産を売却したり担保にして融資を受ける事もできません。

また、相続登記ををしないまま放置していると、さらにその相続人が亡くなった場合など、相続人の数がどんどん増えていき、相続人を確定させるのが困難になります。

法定相続分と異なる割合で相続する場合には、相続人全員での遺産分割協議が必要となりますので、疎遠になっている相続人がいる場合などは手続が煩雑になりますし、遺産分割協議がまとまらなくなる可能性もあります。

 

相続登記は相続税の申告や相続放棄のような期限はありませんが、相続人同士で話し合いができる状態のうちに不動産の名義変更(相続登記)を行う事をお勧めします

 

【相続登記は自分でできないの?】

相続登記は司法書士でなくても、相続人自身で行う事もできます。

平日の開庁時間内に役所へ行き、手続に必要な戸除籍謄本や印鑑証明書、住民票を取得し、遺産分割協議書を作成し、法務局に申請することが可能な方はご自身でされる方もいらっしゃいます。

ただ、戸籍の収集においても相続人の人数が多い場合や、古い戸籍を読み取る事が難しい場合があります。

何度も役所や法務局へ足を運び、結果的に時間や費用の負担が多くなった方や、途中で断念されて最終的に司法書士に依頼される方もいらっしゃいます。

初めから司法書士のような専門家に依頼することで、書類の収集・作成から法務局への登記申請までまとめて頼むことができますので、相続人の負担を減らし、スムーズに名義変更手続ができます。

私どもの事務所は、不動産の名義変更と合わせて銀行の解約手続も行う事ができますのでお仕事の都合で休みを取ることが難しく、平日の銀行窓口が営業している時間に手続が難しい方も一度ご相談ください。

 

【相続した不動産が名古屋市以外でも大丈夫?】

相続登記のような不動産の登記手続は対象の物件の所在地を管轄する法務局で申請手続をします。ですから相続する不動産が複数ある場合は注意が必要です。

 

私どもの事務所は名古屋市天白区植田にありますが、北海道から沖縄まで日本全国どこの不動産でも申請手続をする事ができます。

オンライン申請というインターネットを利用した方法で申請を行いますので、遠方の法務局まで出張して申請する事はありません。

 

 

ご相談の際は、名義変更を行う不動産の固定資産評価証明書又は固定資産税の課税明細書(役所から4月頃に郵送されてくる固定資産税の納付書に同封されています)をご準備して頂けるとお見積をご提示する事ができます。

 

天白区の方だけでなく、名東区・緑区・日進市・みよし市・東郷町等にお住いの方もご相談にお越しいただいております。

もちろん、ご自宅等に訪問させて頂く事も可能です。

お気軽にご相談下さい。

不動産の名義変更に関するページはこちら

8月 相続個別相談会 【無料】

2019-07-25

いちえ司法書士事務所では、遺言・相続に関する無料個別相談会を開催いたします。

・遺言書作成
・遺産分割協議書の作成
・相続登記
・相続放棄

などの相続手続きに関するご相談を承ります。

平日はお仕事の都合で、ご来所できない方は、この機会にお越しください。

当日は司法書士が直接ご相談をお聞きします。

日時:2019年8月4日(日)

①9:30~ ②11:00~

限定2組様

相談時間:60分以内

会場:いちえ司法書士事務所 

名古屋市天白区植田三丁目1811番地 カ・ドーロムロガ3A

相談料:無料

*通常、当事務所では土、日、祝日は定休日の為、ご相談料は60分以内5000円(税別)になります。ご相談をご希望の方は是非この機会にご相談ください。

駐車場:提携駐車場60分無料

お申込み:お電話又は当サイトのお問い合わせフォーム、ライン@から事前に予約をお願いします。

ご予約ダイヤル:052-746-1181

7月 相続個別相談会 【無料】

2019-06-20

いちえ司法書士事務所では、遺言・相続に関する無料個別相談会を開催いたします。

・遺言書作成
・遺産分割協議書の作成
・相続登記
・相続放棄

などの相続手続きに関するご相談を承ります。

平日はお仕事の都合で、ご来所できない方は、この機会にお越しください。

当日は司法書士が直接ご相談をお聞きします。

日時:2019年7月6日(土)

①9:30~ ②11:00~

限定2組様

相談時間:60分以内

会場:いちえ司法書士事務所 

名古屋市天白区植田三丁目1811番地 カ・ドーロムロガ3A

相談料:無料

*通常、当事務所では土、日、祝日は定休日の為、ご相談は60分以内のご相談料5000円(税別)になります。ご相談をご希望の方は是非この機会にご相談ください。

駐車場:提携駐車場60分無料

お申込み:お電話又は当サイトのお問い合わせフォーム、ライン@から事前に予約をお願いします。

ご予約ダイヤル:052-746-1181

遺言 公正証書作成までの流れ②

2019-05-30
前回は、面談〜作成前日までの流れをお話しましたので、
今回は、作成日当日のお話をします。
 
当日は、予約の時間に公証役場で待ち合わせさせて頂きます。
 
遺言書を作成する方・証人2名の全員が揃ったところで
手続開始です。
(遺言公正証書の作成に必要な証人2名も、当事務所で手配させて頂きますので、ご安心下さい。)
 
まずは、公証役場の事務員さんに本人確認資料の提出を求められるので、免許証などを提示します。
名前の読み方などを聞かれる事もあります。
 
公証役場は、待合室と公証人の執務スペースに分かれていますので、呼ばれるまで待合室で待機します。 
 
呼ばれたら公証人の執務スペースに入ります。
ここで初めて公証人と対面します。
 
執務スペースには、遺言書を作成する方と証人2名しか入れませんので、付き添いの方は待合室でお待ち頂きます。
 
ここでは何をするかと言うと、公証人が遺言書を読み上げて内容に間違いがないか全員で確認します。
読み上げられた内容に間違いが無ければ、遺言書を作成する方、証人の順に遺言書に署名・捺印します。
 
その後は付き添いの方も執務スペースに呼ばれて、遺言書の保存期間や保管方法などの説明などがあります。
 
公証人の費用をお支払いし、手続は終了となります。
 
かかる時間は、待ち時間も合わせて30分ぐらいです。
 
ここまでが作成日当日の流れです。
公証役場によって若干方法が異なる場合があります。
 
遺言書の作成を検討されている方は、お気軽にご相談下さいませ。

遺言 公正証書作成までの流れ①

2019-05-22
遺言書を公正証書で作ろう!
と思ったものの、
実際はどのように進めるのだろうか?
と不安になり、作成をためらってしまう方もいるのではないでしょうか?
 
そこで今回は、
面談〜公証役場で実際に作成するまで
の流れをお話しようかと思います。
 
まずは、面談〜公証役場で作成する前日までの流れです。
 
1.面談
当事務所にお越し頂き、遺言書に書きたい内容をお聞きします。
(当事務所にお越し頂くのが難しい場合は、ご自宅などにお伺いする事も可能です。)
 
遺言書に書きたい内容というのは、具体的には
・どの財産を誰に渡したいか
・自分が亡くなった後にして欲しいこと(お墓など)
・生前は伝えられなかった事実(隠し財産や隠し子の存在など)
・生前は言えなかった感謝の気持ち
などです。
 
お話をお聞きする際に、
①財産についてわかる資料
(通帳・不動産の登記簿謄本・権利証・課税明細書など)
②遺言書を作る方・財産を渡したい方についての資料
(戸籍謄本・印鑑証明書・住民票など)
があるとスムーズです。
 
2.文案の作成
お聞きした内容を基に、当事務所で文案を作ります。
お作りした文案を、メールやFAXなどで確認して頂きます。
書きたい内容と文案に記載した内容に間違いがなければ、次は公証人にチェックしてもらいます。
 
3.公証人との打ち合わせ
公証人との打ち合わせも当事務所で行います。
公証人に文案をチェックしてもらい、加筆修正などアドバイスして頂きます。
公証人から頂いた最終文案を、ご相談者様にも最終的に確認して頂きます。
 
4.費用のお知らせ
実は、遺言書を作成する時に公証役場で必要な費用は一律ではなく、
財産の額や財産を渡す人数などによって異なります。
 
最終文案がまとまった段階で費用が確定しますので、
当事務所の費用と併せてお伝えします。
公証人にお支払いする費用は、作成日当日に現金でご用意頂きます。
当事務所が頂く費用は、前日までにお振込又は当日現金でご用意頂くかのどちらかになります。
 
ここまでが、大まかな流れです。
 
次回は、作成日当日のお話をします。
 

クラブナゴヤの掲載

2019-05-07

クラブナゴヤ6月号に相続特集として掲載されました。

 

 

LINE@の追加について

2019-03-12

LINE@の導入をいたしました。当サイトやスマートフォンからご利用頂けます。

ご相談予約などお気軽にご利用ください。

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