亡くなった人(被相続人)名義の不動産があった場合、被相続人から相続人への名義変更(相続登記)が必要です。(2024年4月からは相続登記の義務化も施行され、放置すると罰則や過料が発生します。)
相続人が被相続人と離れて暮らしていた場合、相続登記はどのようにすすめていけばよいのでしょうか?
相続人が自ら登記申請をする場合もありますが、慣れない手続のためご自身で手続を進めることに不安を感じる方もおり、司法書士に依頼するケースが多いです。
司法書士に依頼をする場合は、被相続人が所有していた不動産の近くにある司法書士に依頼するべきなのか?それとも相続人の住まいの近くにいる司法書士に依頼した方が良いのか?
このように、どこの場所にある司法書士に依頼した方が良いか判断に迷われる相続人がいらっしゃいます。
今回はこのような疑問にお答えしていきます。
【事例:遠方で暮らしていた父が亡くなったケース】
被相続人:父 (札幌市永住)
相続人:長男(名古屋市在住)・長女(沖縄市在住)
相続財産:不動産(札幌市内にある土地・建物)、預貯金
相続登記の流れ
- 遺言書の有無を確認
二人の相続人は父親が作成した公正証書遺言書や自筆証書遺言書等の存在を確認します。
- 相続人の確定
相続人は自身の戸籍謄本と被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得し相続人を確定する必要があります。
- 不動産の調査
相続する不動産の権利証(登記済証又は登記識別情報通知)、登記事項証明書、固定資産税評価証明書、名寄帳等を取得し不動産を確認します。
- 遺産分割協議
父親が作成した遺言書の存在が無く、相続人が二人以上いる場合に、法定相続分と異なる割合で相続するときは、遺産分割協議が必要です。今回の事例のケースでは、相続人の間で遺産分割協議をした結果、父親が暮らしていた一戸建ての家は土地と建物が父名義のため、長男が相続し、長女は預貯金を相続することで協議がまとまりました。
- 司法書士へ依頼
不動産を相続する長男は、仕事が忙しく、慣れない相続登記を自らが行うことが困難なため、登記の専門家である司法書士へ依頼することを決めました。
■司法書士に依頼する理由
・慣れない登記手続をすることが不安である。
・登記申請に必要な書類を作成する知識や時間が無い。
・時間や労力を削減でき効率的である。
・確実に、スピーディーに登記を完了させることができる。
・平日は仕事があり法務局へ出向く時間がない。
・面倒な手続きは苦手である。
・登記申請に不備があっても対応できない。
・専門家に任せることで他の事に時間を使える。
・自分自身で行うよりミスが無く安心できる。
以上のような理由があります。
■依頼の内容
- 戸籍謄本の収集
相続人である長男、長女は自身の戸籍謄本を役所で取得しますが、被相続人の戸籍謄本の取得は出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になるため、取得の依頼を受けました。昔の戸籍謄本は手書きで崩した字体で書かれている為、読み解くことが困難な場合があります。
また、被相続人が結婚や離婚、引っ越しなどで本籍を移している場合は、本籍のある役所で戸籍謄本を取得する必要があります。役所が遠方で出向くことが難しい場合は小為替を購入し郵送で取得することになります。
相続人が被相続人の分の戸籍謄本を取得するために交通費や時間をかけ苦労して取得しても、必要な戸籍謄本が不足しているケースもあります。
司法書士は登記を前提にしている場合は遠方でも、職権で相続人に代わって戸籍謄本を取得することができます。
- 遺産分割協議書の作成
相続人の間で遺産分割協議がまとまった後に、司法書士が遺産分割協議書を作成します。作成した遺産分割協議書に相続人が署名と捺印をします。
- 相続登記申請
相続する不動産を管轄する法務局へ登記申請する際に、戸籍一式・住民票・住民票の除票、印鑑証明証や固定資産税評価証明書などの添付書類を揃えて提出します。
相続人が登記申請を自ら行う場合は、札幌の不動産を管轄する法務局の開庁時間内に窓口へ出向き申請するか必要な書類を揃えて郵送することになります。
当事務所のようにオンライン申請ができる司法書士事務所の場合は、札幌の法務局へ出向くこと無く、登記申請を行うことが可能です。
- 登記申請書の補正
法務局へ登記申請を行うと必ず受理されるわけではありません。法務局では一定の基準で審査が行われます。重大な間違いがある場合は却下されますが、却下までにはならない軽微な場合は手直しをすることで受理される場合があります。
登記に必要な申請書類に不備があると登記官が判断した場合、補正の連絡を受ける場合があります
相続人が自ら登記申請を行い補正の連絡を受けた場合は、法務局が定める期間内に札幌の法務局へ出向き補正作業を行うことになります。
- 登記完了
登記が完了し、完了証や権利書を受け取る方法としては、法務局の窓口で受領する方法と郵送で受領する方法があります。
当事務所にご依頼いただいた場合は、すべて郵送で受領する方法で対応しております。
法務局から返送された書類を当事務所で確認し整えてから、依頼人の長男へお渡しします。
当事務所の司法書士や依頼人の長男が、札幌の法務局へ取りに行く必要はありません。
■まとめ
登記申請する法務局は、被相続人や相続人の住所地の法務局ではなく、相続する不動産を管轄する法務局で登記申請を行います。
司法書士に相続登記を依頼する場合は、オンライン申請ができるシステムを導入している司法書士事務所であれば日本全国の不動産の登記が可能です。
当事務所では、オンライン申請に対応しておりますので、日本全国の不動産の登記が可能です。
どこの場所にある司法書士に依頼した方が良いかという疑問については、相続登記手続が完了するまでに、司法書士事務所へ相談に行ったり、書類のやり取りがあったりするので、手続を進める相続人が利用しやすい場所にある司法書士に手続を依頼することをお勧めします。
なお、稀にオンライン申請を導入していない司法書士事務所も存在します。また、対応エリアを決めている司法書士事務所もあります。司法書士事務所によって対応が異なりますので、事前に確認されることをお勧めします。
いちえ司法書士事務所は初回相談から司法書士が対応しております。
相続登記の流れや必要書類、登記費用の説明等を行い、ご納得いただいてからの着手となります。相続する不動産が遠方な場合でも、お気軽にご相談ください。