相続登記をしないで放置していると、相続人がどんどん増えて権利関係が複雑になっていきます。今回は、相続人が増えると、どのような事が起きるのかお伝えしていきます。
お亡くなりになった方(被相続人)の財産のうち、預貯金や株以外に被相続人名義の不動産がある場合、相続人への名義変更(相続を原因とする所有権移転)が必要です。このことを一般的に「相続登記」と言います。
相続登記をする際にまず初めに必要となるのが、相続人調査です。相続人を確定するため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や相続人の戸籍謄本を取得します。すべての戸籍が集まり、相続人が確定した後に、遺産分割協議を行います。法定相続分通りに財産を分ける場合には遺産分割協議は必要ありませんが、法定相続分と異なる割合で相続する場合は、相続人の間で遺産分割協議を行い、どの財産を誰が引き継ぐかを決め、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書や戸籍一式、印鑑証明書等を登記申請書に添付し、法務局へ提出すると名義変更ができます。
■相続人の確定
相続が発生した時に相続登記をせずに放置していると、相続人を確定する事が複雑になってきます。
まず、被相続人に配偶者がいる場合は、常に相続人になります。子がいる場合は、子も相続人になります。次に、子がいなければ被相続人の父母や祖父母が相続人になります(直系尊属)。また、直系尊属が既にお亡くなりになっている場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となり・・・というように相続人が変わっていきます。
更に、数十年前に相続が発生したまま相続登記をしていない状態では「数次相続」や「代襲相続」が発生している場合があります。
「数次相続」とは、相続が発生し、相続人になった方がその後にお亡くなりになった場合に次の相続が発生するというものです。
「代襲相続」とは、例えば祖父が亡くなった時に既に父が亡くなっており孫が祖父の相続人になるという場合です。兄弟姉妹が相続人となるケースで、数次相続と代襲相続が複雑に発生しているケースがあります。
次に詳しく説明します。
■順番が重要
相続ではお亡くなりになった順番も重要です。
相続が発生した後に、不動産の名義変更を放置した場合に相続人が増えてしまう場合があります。
例えば、次のようなケースです。
天白区在住のAが10年前に亡くなり、A名義の不動産が名東区にあるため、名義変更したいというBからの相談のケースです。相続人は、Aの配偶者のBと兄弟のCです。しかし、Cは5年前に亡くなっておりました。ですので、数次相続が発生し、Cの相続人であるD、E、Fも相続人となります。また、FがCより先に死亡していたため、代襲相続によりGも相続人となります。
このケースでは、BはCが亡くなるより前にAの名義変更手続をしていれば、Aの相続人はB、Cのみでしたが、10年間放置していた事により、最終的に相続人がB、D、E、Gとなってしまいました。
BとGは面識がなく、Eとも疎遠になっていたため、遺産分割協議は難航しました。
■相続した不動産が売却できない
このように相続人と言っても関係性が薄い状態ですと、連絡を取る事にも抵抗があったり、快く協力してもらえなかったりする場合もあります。
遺産分割協議がスムーズにいかなければ相続登記を進める事はできません。
相続人同士の話し合いができず協議が進まない場合は、司法書士ではなく弁護士に依頼する事になります。
弁護士に依頼をすると弁護士費用の負担もあります。
仮に相続する不動産の売却を予定していても、相続人全員の同意が無ければ売買は成立しません。
■相続人が増えるデメリット
当時の事情を知らない相続人が増えると、相続人同士の関係が複雑になり、連絡を取ることも困難になります。複雑になると、手間や時間がかかり費用のご負担も増えてしまいます。
ですので、早めの手続をお勧めします。
■司法書士が役に立ちます
読み解く事が難しい「戸籍謄本の収集」や相続手続をスムーズに行う為の「法定相続情報一覧図の写し」の作成など、相続の手続でお困りの方は司法書士におまかせください。
「いちえ司法書士事務所」は女性の司法書士が直接対応致します。
なお、相続人間で協議がまとまっている場合に限ります。