親が亡くなった時に、親名義の不動産を子が相続するケースはよくあります。
相続した不動産を売却する際に亡くなった親の名義のまま売却できるのか、疑問に思う方もいらっしゃると思います。
今回は故人の名義のままで売却が可能なのかお伝えします。
■使用しない土地の売却
長男(天白区在住)と二男(名東区在住)は父親が亡くなった為、父親名義の不動産を相続しました。
お2人が相続したのは日進市と東郷町にある土地です。
相続人の2人は、相続した土地を使用する予定が無い為、売却を検討しています。
相続人の2人は父親の名義から購入者(買主)へ名義変更(売買による所有権移転)をする事ができるのでしょうか?
■相続人への名義変更
結論から申し上げますと、父親(被相続人)の名義から直接買主への不動産の名義変更(売買による所有権移転)はできません。
このような場合は一度、被相続人の名義から相続人へ所有権移転登記を行った後に、売買による不動産の名義変更をします。
相続人への名義は
①共有名義:父親の名義から2人の相続人の名義にする。
②単独名義:相続人のどちらか1人の名義にする。
①②のどちらかの相続による所有権移転登記(相続登記)が必要です。
②の場合は、相続人2人で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する必要があります。
■登記は2回必要
買主へ名義を移す(売買による所有権移転登記)には、先に被相続人から相続人へ所有権移転登記を行い、次に相続人から買主へ売買による所有権移転登記を行います。
すなわち、所有権移転登記は2回行う必要があります。
登記申請から完了までの期間は、法務局の混雑状況にもよりますが、10日~2週間程度かかります。
スケジュールを立てて進める事をお勧めします。
■相続人へ登記をする理由
1、民法177条の条文には「不動産に関する物権の得喪及び変更は,不動産登記法(平成16年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ,第三者に対抗することができない。」と定められています。
このように、条文には不動産に関する権利は、登記していなければ第三者に対して対抗(主張)できないと定められています。
相続人が相続不動産を売却するには、不動産を相続した相続人が相続不動産の所有者であるという事を売買の関係者に主張するために、登記上の名義人である事を公示する必要があるのです。
2、不動産の登記は実態に即した形になっている必要があります。
相続した不動産の権利(所有権)は、相続が開始した時点で、被相続人から相続人に移っています。
相続した土地(不動産)を利用しないまま買主に売却したとしても、被相続人から買主への所有権移転登記を行うことができません。
以上の事から、相続した不動産を売却する場合は、その前提として必ず相続登記を申請しなければなりません。
相続人が複数いらっしゃる場合は登記申請の準備に時間を要するケースが多いので、余裕をもったスケジュールを立てる事をお勧め致します。
いちえ司法書士事務所では初回の面談から代表の女性司法書士が行います。
当事務所の特徴のひとつは、相談にお越しになる方々の約7割は女性です。
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権利書、課税明細書(4月頃に役所から郵送される固定資産税の納付書に同封されているものです。)
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尚、相続人同士がもめている場合、司法書士は手続を進めることができませんので弁護士に依頼する事をお勧めします。