相続した不動産を売却する場合、誰の名義にするとよいのでしょう?
相続登記を行う場合、共有名義と単独名義の2通りがあります。
迷われる相続人の方も多いのではないでしょうか。
今回は、相続した不動産を売却する場合の共有名義と単独名義のメリットとデメリットをお伝えします。
◆共有名義の場合
<メリット>
相続した不動産を相続人全員の名義にした後に不動産を売却します。
不動産の売主は相続人全員になり、売却代金は登記した持分に応じて分配されます。
更に売却手続も相続人全員で進める為、手続にかかる費用も平等になります。
また、相続人の一部の人が勝手に売却してしまうことを回避できます。
<デメリット>
相続人全員が売買契約への同意と不動産の売却手続に参加する必要があります。
相続人の内一人でも売買代金や売却先に不満があり、同意できない場合は売買を進める事はできません。
売却が決まり、最終的な残代金の支払日には、銀行に不動産仲介・売主・買主・司法書士が一堂に会し手続を進めます。その際に、売主として名義人の相続人全員が出席する必要があります。
通常、上記手続は法務局に申請ができる平日に行い、且つ法務局の申請時間に間に合うように設定されます。
また、買主が銀行で融資を受ける場合や売主の抵当権の抹消登記が必要な場合は銀行の営業時間内に行う必要があります。
もし、この時間に参加できない場合は、事前に本人確認を済ませておかなければなりません。
その際は、追加の費用と時間も必要になります。
名義人が多ければ多いほど、日程調整を行うのが大変です。
◆単独名義の場合
複数の相続人から代表者1人を選び、代表者の単独名義にする方法です。
代表者が売主となって売却した後に、売却代金を相続人全員で分配する方法です。
相続人の内、誰が代表者になるのか、売却代金の分配方法はどうするのかを、予め遺産分割協議書に記載しておく必要があります。
<メリット>
・不動産の売却に関する手続は名義人の代表者で可能になります。
複数の相続人の都合を調整するより、代表者一人の都合で売却の手続を進めることができますので、相続人が複数の場合と比べると早く手続を行う事ができます。
<デメリット>
・代表者が契約した売買の内容に、他の相続人が納得しない可能性があります。
不動産の売買契約は代表者1名で行う為、他の相続人が想定していた内容と異なる可能性もあります。
更に下記の納税に関しても注意が必要です。
・譲渡取得税
不動産の売却により売主に対し譲渡取得税が発生する場合があります。
不動産の名義を代表者1人にすると代表者に通知され、納税する事になります。
・住民税
不動産を売却すると翌年の住民税が増える場合があります。
但し、代表者個人の収入も含まれるので、相続人全員で負担する額を算出するのは簡単ではありません。
各種税金の詳細につきましては、税理士や管轄税務署に確認される事をお勧めします。
■共有名義と代表者単独名義、どちらにすべき?
不動産を売却する前には必ず相続登記が必要です。
すでに売却先が決まっている場合、相続人同士の関係性が良好で早く売却手続を進めたい場合や、トラブルになる可能性が低い場合は単独名義を選択されてもよろしいかと思います。
共有名義と代表者単独名義の選び方は売却時期や相続人間の関係性で判断される事をお勧めします。
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尚、相続人同士がもめている場合、司法書士は手続を進めることができませんので弁護士に依頼する事をお勧めします。