代襲相続(だいしゅうそうぞく)という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
あまり聞き慣れない言葉です。
お亡くなりになった方(被相続人)にお子さん(子)がいらっしゃった場合、その子は法定相続人になります。
しかし、被相続人よりも先に子が亡くなっている場合はその子に子供(被相続人の孫)がいると、その被相続人の孫が代襲者となり代襲相続人になります。
本来相続人になるはずだった親が相続の開始する前に亡くなっていた為、子や孫が代わりに相続人になるという制度を「代襲相続」と言います。
具体的にみてみましょう。
このような場合に、誰がAの相続人となるのでしょうか?
配偶者は常に相続人となり、第一順位の法定相続人は子となります。
今回、Aの子であるDが先に亡くなっているため、Dの子であるFが代襲相続人となります。
ですので、Aさんの法定相続人はB・C・Fとなります。
今回のケースでは、Dの相続人は誰でしょうか?
被相続人Dには子供がいません。
Dの両親A・Bもすでに亡くなっていますので、Dの兄弟姉妹が法定相続人となります。
しかし、兄弟であるEはすでに亡くなっており、Eには子Gがいます。
ですので、Dの法定相続人は、C・Gとなります。
では、代襲者が相続開始の時点ですでに亡くなっていた場合はどうなるのでしょうか?
代襲者が相続開始の前に亡くなっていた場合は「再代襲相続」になります。
◇ではどこまで代襲されるのでしょうか?
・被相続人の子が既にお亡くなりになられている場合は
代襲者は被相続人から見て直系卑属の孫、曾孫(ひまご)、玄孫(やしゃご)へ再代襲されます。
例1のケースで、FがAよりも先に亡くなっている場合には、Fの子がいればFの子が再代襲します。
・被相続人の兄弟姉妹が既にお亡くなりになられている場合
兄弟姉妹の子(甥、姪)に再代襲されます。
しかし、甥や姪が既にお亡くなりになっている場合は1代限りとなり、次はありません。
例2のケースで、GがDより先に亡くなっていた場合でも、Gの子は再代襲しません。
遺産分割協議書を作成する場合は、代襲相続人を含めた相続人全員で協議します。
代襲相続に関する登記の申請手続は通常の登記申請手続と変わりませんが、戸籍謄本の内容をしっかり確認し相続人を把握する事が重要です。
次回は数次相続についてお話します。
ご高齢な方やご兄弟姉妹が多い家系、長い間、相続登記をしていなかった場合などは代襲相続と数次相続が複雑に絡みあったケースもあります。
戸籍を読み解き、法定相続人を正確に把握する事が大切になります。
法定相続人の判断を誤ると、遺産分割協議をもう一度やり直さなければいけなくなってしまいます。
当事務所は戸籍の収集からお手伝いできますので、お困りな方はお気軽にご相談ください。