不動産を共有名義にする場合の問題点

相続財産の不動産(土地・建物)を相続人のうちの一人の単独名義にするか、相続人全員の共有名義にするか、悩まれる方も多いと思います。

共有名義にした場合、どのような問題が起きるのでしょうか?

 

民法第249条には「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。」と規定されています。

相続の場合には、それぞれの相続人は対象となる物を持分の価格に従い、全体を使用することができます。

ですが、相続財産に不動産がある場合、「不動産を共有名義にしない方が良い」とか「共有名義はお勧めしません。」などと言われることも多いです。

それはなぜでしょうか?

 

◇共有名義でも問題が無いケース

相続財産のほとんどが不動産で、相続人全員に平等に遺産分割ができない場合に、対象の不動産を売却し、売却代金から手続にかかった費用を引いた残金を持分に応じて分割するというケースがあります。

このように不動産を売却し得られた金額を持分で分割する方法を「換価分割」と言います。

もちろん、相続人全員が同意していることが前提です。

このようなケースは相続人全員が同意しているので、共有名義になっていても特に問題はありません。

 

◇共有名義の問題点

相続における不動産の共有名義は、下記のような問題が生じる可能性があります。

 

・共有者が増える

例えば、共有者が2人で相続財産の土地を2分の1ずつ共有しているケースで、共有者の一方が亡くなり相続が開始した場合には、共有持分が相続人の数だけ細分化する事になります。

そうなると、相続人が増えて権利関係が著しく複雑になってしまうという可能性があります。

また、不動産の共有者が増えると利害関係者も増える可能性もあり、不動産の活用や売却をするときに共有者の意見がまとまらずスムーズに行えなくなるという問題も発生します。

 

 

・不動産の活用が難しい

先程もお伝えしましたが、共有者が増えると、不動産の活用や売却する際に、共有者の意見がまとまらずスムーズに行えなくなることがあります。

不動産の売買では、司法書士が売主に直接お会いし本人確認をさせていただきますので、もし共有者の中に認知症などで意思表示をする事が困難な方がいらっしゃる場合には、売買ができないこともあります。

 

・遺産分割がまとまらない

共有名義を解消して単独名義にするためには共有者(所有者)全員で遺産分割協議を行う必要があります。

ところが、共有者全員の考えが同じであれば良いのですが、共有者のうち一名でも同意しない共有者がいる場合は単独名義にすることはできません。

 

  • 共有状態を解消するには

共有名義の土地(不動産)を相続した場合に、相続人全員で協議がまとまらない場合は、民法第907条第2項に「遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。」とあります。

相続人の間で遺産分割がまとまらない場合には、弁護士などの専門家に依頼し、家庭裁判所に遺産分割調停の申立をすることもできます。

 

以上のように不動産を共有状態にする場合には、予想される問題点等を考慮した上で、行うことをお勧めします。

 

また、公正証書遺言などの遺言書を作成し、共有者(相続人)が争わないように将来を見据えた分割方法を考えることが大切です。

 

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