相続するということは、全てのプラスの財産に限らず、借金などのマイナスの財産も含まれます。
例えば、亡くなられた方が多額の借金をしていた場合、相続すると相続人は借金の返済をすることになります。
残された家族からすると借金が多いなら相続したくないということになります。
相続人は相続するかしないかを決めることができます。
相続にはプラスの財産もマイナスの財産も全て相続する「単純承認」という方法に対し、全部または一部を相続しないという方法もあります。
◇相続放棄
相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も全て相続をしない方法です。
各相続人がそれぞれ放棄するかしないかを決めることができます。
手続の流れは
1.相続放棄申述書を被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に提出します。
【必要書類等】
- 申述人(放棄する人)の戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票又は戸籍の附票
- 相続人の認印
- 収入印紙800円(申述人1人につき)
- 返信用の郵便切手
2.約1週間程で家庭裁判所から相続放棄の申述についての照会書が郵送されます。
質問事項に回答し家庭裁判所に返送します。
3.相続放棄が受理されると、相続放棄申述受理通知書が家庭裁判所から郵送されます。
証明書が必要な場合は家庭裁判所に相続放棄申述受理証明書の申請を行います。
◇限定承認
限定承認はプラスの財産を限度にマイナスの財産の負担を負うという方法です。
ただし、相続人全員の合意が必要です。一部の人だけが行う事はできません。
ですので、相続人の1人でも単純承認してしまうと、限定承認はできなくなってしまいます。
手続の流れは
1.被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に家事審判申立書を提出します。
【必要書類等】
- 被相続人の戸籍謄本(出生時から死亡時まで)
- 被相続人の住民票除票又は戸籍の附票
- 申述人全員の戸籍謄本
- 相続財産目録
- 申述人全員の認印
- 収入印紙800円
- 返信用の郵便切手
2.家庭裁判所が相続人から相続財産管理人を選任します。(共同相続の場合)
3.相続財産管理人は、債権者などに選任審判の告知後10日以内に公告(官報掲載)しま
す。(共同相続の場合)
※相続人が1人のみの場合は、限定承認の申述の受理から5日以内に公告する必要が
あります。
4.公告(官報掲載)に定められた期間内に申し出をした債権者に相続財産の限度内で弁済
します。
5.債権者への弁済後に残余財産があれば、受遺者に弁済します。
以上のように、「相続放棄」や「限定承認」を行う場合は相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述を行います。
3か月以内に手続をしなければ「単純承認」したとみなされ、子供は借金も相続する事になり子供は親が作った借金を返済することになります。
限定承認をすると、準確定申告が必要となりますし、みなし譲渡所得税がかかる場合もありますので、利用する場合は注意が必要です。
親は子供達に借金などのマイナスの財産がどのくらいあるのかを事前に伝えておき、親が亡くなった際に借金が多く返済が困難な場合は3か月以内に相続放棄の手続を行うように親子で話をしておくことも将来の対策の一つになります。
「相続放棄」や「限定承認」は期限がある手続きになります。
戸籍などの収集は時間や手間がかかります。
司法書士のような専門家に依頼をすることでスムーズに手続が可能になります。
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