遺言書の検認とは

遺言書の検認とは一体どういう意味なのかということをまず確認していきます。

遺言書には、種類が3種類存在します。

  1. 1.自筆証書遺言
  2. 2.公正証書遺言
  3. 3.秘密証書遺言

そして、この3種類の中では「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」が遺言書の検認手続きの必要なものとなります。
※公正証書遺言については、遺言書の検認は不要となります。(民法第1004条2項より)

まず、遺言の検認についての根拠となる条文は、民法第1004条の下記条文です。

 

(遺言書の検認)民法第1004条

  1. ・遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
  2. ・前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
  3. ・封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

 

まとめると、

  • 遺言書は、まず相続人(またはその代理人)が家庭裁判所に提出する(検認を要求する)
  • その後、相続人または代理人の立会いのもと開封する
    一言で言えば「遺言書のお披露目会」を開く、といったところでしょうか。 遺言書の内容がここで初めて明らかになり、各相続人に対して詳しい相続の区分が示されるということです。

検認の手続き前に勝手に開封してしまうと、5万円以下の過料が処せられる場合があります。必ず検認手続きを踏んで内容を確認するようにしてください。

また遺言書の検認手続きは、その遺言書が有効か無効か、ということを決める手続きではありません。自筆証書遺言について、以下の条文があります。

 

(自筆証書遺言)民法第968条

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

 

上記の通り、民法968条に「その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」
とありますから、この要件通りに自筆証書遺言書を作成しないと遺言自体が無効となってしまいますので遺言作成の際は注意してください。

検認手続きではこのような有効無効を判断するものではなく、あくまでも遺言書の形式面を判断するものなのです。なお、実務的にも相続登記と預貯金の解約として自筆証書遺言を使うためには、遺言書の検認手続きを行っていることが条件となります。このようなこともありますから、まずは早期に遺言書の検認手続きを行うようにしてください。

 

検認手続が終わるまでに必要な期間

それでは、検認手続が終わるまでには具体的にどのくらい時間がかかるのでしょうか。
実は、「検認手続」は即日完了する手続ではありません。

検認の手続は、以下のような流れとなります。(家裁により若干異なります)

  • 1.死亡届を役所へ提出(約1週間)
    被相続人が亡くなった後、まず死亡届を提出します。その後、戸籍に反映されるまでにはおよそ1週間かかります。
  • 2.遺言の検認申立て(約1週間~2週間)
    遺言書の検認を受けるには、「遺言書検認申立書」やその他の必要書類を用意して、家庭裁判所に申立てをする必要があります。ちなみに申立先は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。 検認申立書を提出すると、約1~2週間ほどで書記官から申立人に電話で検認期日の希望日についての連絡がきます。その後、家庭裁判所から検認の期日通知が送付されます。
  • 3.検認期日(約1ヵ月後)
    通知日の約1ヵ月後に検認期日が指定され、申立人が立ち会うこととなります。内容は、裁判官から「保管状況や、印鑑の種類、遺言者の筆跡」等について質問されます。これにて検認手続きは終了します。 ※この検認期日の際に、20分程で完了する「検認済証明書」の手続きも合わせて行いましょう。忘れると相続手続きが出来ませんので注意してください。

つまり、遺言者が亡くなった時を基準にしても、最短で約2ヶ月ほどかかることになります。

検認手続きが終わるまでの2ヶ月の間は、遺言書に記載されている財産の相続手続きに手をつけることはできません。
上記でも確認しましたが、検認前に遺言書を開封することは禁止されています。そのため、それまでは遺言書にどんな財産が書かれているか分からない状態ですので、相続財産について把握することもできません。
遺言の検認手続は、すぐに終了する手続ではないことを心に留め、自筆証書遺言を発見した場合は、なるべく早く申立をするようにしてください。

 

検認手続きを司法書士に依頼するメリットとは?

遺言者の相続財産(不動産等)に関する名義変更をスムーズに行いたい方は、司法書士に依頼することをお勧めいたします。

弊所では、各役所での戸籍収集~家裁での検認手続き~法務局での名義変更まで、依頼者様の負担が少なく、確実に相続手続が完了します。相続でお困りの際はお気軽にご相談ください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせ