8月のコラムで熟年離婚についてお話をしましたが、今回は熟年の「再婚」についてお話します。
離婚した場合、相続では相手が自分の財産を相続する権利が無くなることになります。
子がいた場合は、子に相続をさせることで問題はありません。
しかし、再婚した場合は、相続人が増えることになります。
子からすると、自分が相続できるはずだった財産が減ることになります。
例えば、母親が既に亡くなっており父親と子2人の3人家族の場合、父が亡くなった場合は子2人が法定相続人となります。
相続財産は、子がそれぞれ2分の1ずつの割合で相続する事になります。
しかし、父親が再婚し新しい母親ができた場合、配偶者となる母親が相続財産の2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつ相続する事になります。
新たに母親が存在することで、子の相続分が減ることになります。
父親が資産家で財産がたっぷりあるような方が再婚されると世間では「財産目当ての結婚」なんて噂になるぐらい、子にとっては大問題です。
反対に、うちは財産なんてないから大丈夫なんておっしゃる方もいますが
実際は資産が少ない方が揉めるケースが多いです。
資産が多いと生存中に自発的に相続対策を行いますが
資産が少ないと対策をしていないことが多く、今まで仲が良かった兄弟姉妹がもめてしまうケースも少なくありません。
父親が子に対して、「再婚相手には相続を放棄させる」と生前に言っていても、父親が亡くなってしまっては再婚相手が本当に放棄するとは限りません。
また、父親が遺言書に「財産は二人の子に相続させる」と書いたとしても、再婚相手には配偶者としての遺留分が4分の1ありますので、子の相続分が減ることは変わりありません。
◇配偶者の相続税
相続税の申告にも配偶者の税額軽減に、婚姻期間の年数要件は必要ありません。
ですが、相続税の申告期限(相続を知った日の翌日から10ヶ月以内)までに遺産分割協議がまとまらなかった場合には、税額軽減の対象にはなりませんが
「配偶者の相続税の軽減」とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した遺産額が
・1億6千万円
・配偶者の法定相続分相当額
のいずれか多い金額までは配偶者に相続税がかからないという制度があります。
◇遺留分の放棄
生前に相続放棄の手続はできませんが、再婚相手に遺留分の放棄をしてもらう方法があります。
この手続は、相続開始前に家庭裁判所に申し立てを行い、なぜ放棄するのかを説明し、家庭裁判所の許可を得て、あらかじめ遺留分を放棄するというものです。
申立人は遺留分を持つ相続人自身(再婚相手)になります。
申立書、戸籍謄本(本人、申立人)、実費として収入印紙800円、郵送代などが必要です
遺留分の放棄は相続放棄とは異なりますので、別途、財産を残すことを遺言書で作成する事ができます。
また、父親が再婚相手に対しお金を残したいと考えるのであれば、生命保険に加入し、再婚相手を受取人にするという方法もあります。
しかし、健康状態等により加入ができないケースもありますので注意が必要です。
私ども司法書士は家庭裁判所に提出する申立書などを作成する事ができます。
このような遺留分放棄の許可の手続や遺言書の作成など、ご相談をご希望の方はお気軽に「お電話」又は当サイトの「お問い合わせフォーム」からご予約下さい。