亡くなられた方の相続人に未成年者がいる場合、「特別代理人選任」という手続が必要となる場合があります。
遺産分割協議を行う場合は、未成年者も含めた法定相続人全員で協議する必要があります。
20歳未満の未成年者は、法律上の物事を決定するための判断能力が不十分であるとみなされ、原則的に親権者が未成年者の法定代理人となります。
しかし、法定代理人である親権者も相続人である場合には、親権者が子の法定代理人として遺産分割協議をすることはできません。
親権者に代わって子の代理人になる「特別代理人」の選任が必要になります。
このような場合は、未成年者のために特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立て、選任された特別代理人が未成年者を代理して手続をおこないます。
未成年の子が複数いる場合は、特別代理人はそれぞれ選任する必要があります。
なぜ特別代理人の選任が必要なのかといいますと、例えば父親が亡くなり相続人である母親・子2人の合計3人で遺産分割協議を行う場合、母親が子の代理人となるとすると、「母親がすべての財産を相続する」というように、母親の都合の良い遺産分割協議をすることができるようになってしまい、子の相続権が侵害されてしまうからです。
母親と子が共に相続人となる場合において、遺産分割協議を行うことは母親と子の利益が反する(利益相反)状態と言えます。
◇特別代理人の選任手続
・申立人:親権者・利害関係人
・申立先:子の住所地の家庭裁判所
・申し立てに必要な費用:収入印紙800円(一人につき)、郵送費
・裁判所に提出する書類:①特別代理人選任申立書
②未成年者の戸籍謄本
③親権者の戸籍謄本
④特別代理人候補者の住民票
⑤遺産分割協議書案
⑥相続財産の資料など
特別代理人を選任する際に、家庭裁判所に遺産分割協議書の案を併せて提出します。
この遺産分割協議書案は、案と言っても、特別代理人が選任された後に変更することはできません。また、先程の例で「母親がすべての財産を相続する」というような、子に不利な遺産分割協議書案では、家庭裁判所で認められないこともあります。
ですが、親が子の法定相続分よりも多く財産を受け取ることについて「合理的な理由」があれば、認められる場合もありますので、遺産分割協議書案の記載方法が重要となってきます。
◇特別代理人の候補者
特別代理人は特に資格などは必要ありません。
申立人が申立時に候補者を決めて、家庭裁判所に申立を行います。
未成年の子と利害関係のない親族(叔父、叔母など)にお願いされるケースが多いです。
特別代理人をお願いできる親族がいない場合は、司法書士等の専門家を候補者にすることも可能です。
◇特別代理人選任と司法書士
司法書士は家庭裁判所に提出する特別代理人選任申立書の作成、戸籍謄本の取り寄せ及び遺産分割協議書の作成まで行うことができます。
また、特別代理人が選任された後の、不動産や預貯金といった相続財産の名義変更手続も
司法書士が行う事ができます。
当事務所では、特別代理人選任手続の前提として必要となる相続人調査、相続財産調査、及び遺産分割協議書の文案作成など、申立書の作成から名義変更まで行っております。
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